街を元気にする古民家活用:農園カフェを誘致

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駅前の築古戸建てに 農園カフェを誘致

駅近くに立つ築年数の古い戸建ては、一般的には収益性の高いビルかマンションに建て替える選択が王道だろう。だが、「古民家」の良さを生かして住宅ではなく、街の人たちが「あったらいいな」と思っているカフェを誘致したのが、岡部保全(東京都墨田区)だ。住みやすさの追求を賃貸住宅で完結させず、地域にまで広げている同社の取り組みを紹介する。

左から岡部保全の岡部晶代代表社員、フォークドラディッシュの柴海祐也社長、スピークの古橋亜沙美氏

 7月、東京メトロ半蔵門線の住吉駅から徒歩1分の場所に、カフェがオープンした。農園カフェ「8TAKE(ハタケ) 柴海農園キッチン」だ。店舗は古民家を改装した。同カフェは400年続く農家である柴海農園が経営。店頭では取れたての野菜を販売するほか、カフェのメニューも野菜や季節の果物を使ったスイーツやドリンク、料理が並ぶ。

 「古民家を丸ごと使ってもらえているのが夢のよう」。こう話すのは、同建物のオーナーで、東京都墨田区、江東区エリアを中心に600戸ほどの賃貸住宅を所有する岡部保全の岡部晶代代表社員(以下、代表)だ。
 もともと築60年の戸建て賃貸で、4年前に前入居者が退去してから、新型コロナウイルス禍になったため、特に募集をせずにいたという。
 2023年に入り、どのような活用をするのか、再度検討を開始。岡部代表は「この街にはゆっくり過ごせるカフェがないのが残念でした。そこで、賃貸マンションの募集でお世話になっている東京R不動産を運営するスピーク(東京都新宿区)の古橋亜沙美さんに相談しました」と古民家再生のきっかけを話す。

 24年1月下旬から本格的にテナントを募集し始めた。問い合わせが20件弱あった中、契約したのは、前出の柴海農園の柴海祐也氏が代表取締役を務めるフォークドラディッシュ(東京都渋谷区)だ。
 木造2階建て延べ床面積90㎡の古民家をリノベーションした。骨組みはそのままだが、階段を架け替えたり、玄関の壁を抜いたりした。内装にアンティークな家具や照明を使うことで、レトロな雰囲気に仕上がった。
「当社も所有物件の新築やリノベを行っているため、入居者の中には若い人たちが増えてきています。街に若者が入りたいと思えるお店が欲しいと思っていたので、8TAKEさんがオープンしてくれてうれしいです」(岡部代表)

▲店内は家具や照明でレトロ感を演出

(2024年11月号掲載)

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