データで見えた:遺言書の印象と作成意思についての調査

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遺言書の印象と作成意思についての調査

 企業法務から、離婚や遺産相続などの個人法務、刑事事件まで幅広く対応する弁護士法人Authense(オーセンス)法律事務所(東京都港区)は2023年4月17日に、30~80代の男女を対象に「遺言書の印象と作成意思についての調査」を実施。インターネットによるアンケート調査で1038件の有効回答を得た。

Q遺言書に対する印象は?

A. 半数が「どちらともいえない」と回答

 遺言書は、残された財産を誰にどのように分けるかを決めるものであり、相続において非常に重要な役割を果たす。

 遺言書に対してどのような印象を持っているかを聞いたところ、前向きか後ろ向きかの問いに対し、「どちらともいえない」と回答した人が半数を占め、次いで前向きな印象を持っている人の割合が高いという結果になった。また、遺言書に後ろ向きなイメージがあるか聞くと「後ろ向きなイメージはない」と答えた人が最も多かった。前向きな理由として「残された家族に起こるトラブルを防ぐ」「自分の死後の家族の手間を減らす」「自分の思ったとおりに遺産を配分できる」といった回答が上位に並んだ。

 遺言書を残すことで家族や相続人の争いを避け、円満な相続が行われるための、リスクヘッジの一つになると考える人が多いようだ。

Q今後、遺言書を作成する予定はあるか?

A. 重要性を感じていても作成する予定がある人は少ない

 遺言書の作成の必要性を聞くと、必要と考える人の割合は61.5%と多いものの、そのうち、遺言書を作成する予定が「ある」「どちらかといえばある」と答えた人の割合はわずか35.4%だった。

 遺言書を作成する予定がない理由として挙がった回答の1位は「自分の資産が少ない」(37.9%)、2位は「まだ元気だから」(17.3%)、次いで3位は「手続きが面倒」(10.0%)という結果だった。そのほかに「費用がかかるから」「相続人の仲が良く、もめないと思うから」といった回答も挙がった。

 遺言書を作成している人が身近にいないと、自分ごととして捉えづらいことも、作成するに至らない理由なのかもしれない。

Q資産額別に見た遺産分割に関するもめ事の割合は?

A. 約75%が「遺産が5000万円以下」のケースで起こる

 今回の調査では「遺産額が少ないから遺言は必要ない」と考える人が多い結果になった。しかし、遺産分割に関するもめ事の割合を見ると、約75%が5000万円以下のケースで起こっている。もめ事の多くはむしろ遺産額が多額ではないケースに多いのだ。これを踏まえると、遺言を準備するかどうかの判断に資産額は重要ではないと考えられそうだ。

 また、家主は不動産という分けにくい資産を持っているため、たとえ物件数が少なくても遺言書を作成しておくと安心だ。病気で思うように体が動かなくなったり、認知症を発症したりしてからでは遅い。自身の「元気の証明」のために遺言書を作成しておくといいだろう。

(2024年1月号掲載)

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