My賃貸経営スタイル:49戸一斉退去から

賃貸経営福祉

戸建てを購入しグループホーム開所
社会貢献を賃貸経営の強みにする

 埼玉県をはじめ千葉県、茨城県、静岡県に7棟46戸のアパート、戸建て8戸を所有する松田大助オーナー(埼玉県伊奈町)は、2016年に賃貸経営を開始した。当時勤めていた会社の事業部が撤退を決めたことがきっかけだった。「会社にだけ依存するのは危険だ」と感じ、もう1本収入の柱をと考えたのだ。

松田大助オーナー(44)(埼玉県伊奈町)

 区分所有マンションの購入を皮切りに、築20~30年の木造アパートを買い進めていった。築古ながらも、稼働率は9割以上。地方の築古物件がメインであるため、賃料はあくまでも周辺相場並みとしつつも、募集条件を敷金・礼金を無料にしたり、家具・家電付きにしたりすることで、入居者を獲得している。

住宅弱者を積極的に受け入れ、物件の付加価値にする

▲運営するグループホームでは季節のイベントも開催す

 手堅く賃貸経営を行っていた松田オーナーだが、就労支援施設に通う入居者を受け入れたことが一つのターニングポイントになった。賃貸物件への入居が拒否されることの多い、いわゆる「住宅弱者」を受け入れていくことが、自らの賃貸経営の価値になるのではないか。そう考え、その後も生活保護受給者などの受け入れを積極的に行っていった。

 不動産をベースにしながら、もっと社会貢献ができる事業を営むことはできないかという気持ちが大きくなった松田オーナー。着目したのは、規制緩和があり、参入がしやすくなった障がい者向けグループホームの運営だった。

 そこで、20年にはグループホームを開所すべく、埼玉県伊奈町に戸建て物件を購入。「共同生活を通し、自宅と同じような環境の中でその人らしく自立した生活をすること」を目指す「グループホームおにぎり」を立ち上げた。現在は、伊奈町と同県蓮田市に戸建て6戸のグループホームを営む。

 障がい者向けグループホームという特性から、地域の人々の理解が重要だ。そこで、候補物件の近隣住民には一軒一軒訪ねて、松田オーナーから丁寧な説明をして回ったという。

 また、最初のグループホームでは世話人として夜勤もしていた。「共同生活ですから、人間関係のトラブルはもちろんあります。でも『ここがなければ行くところがなかった』といった感謝の言葉を聞くと、本当にやってよかったと思います」(松田オーナー)

 グループホームで働く生活支援員という雇用も生み出すことで、地域貢献に役立っている側面もあるという。生活支援員は無資格でもなることができるため、シングルマザーやシニア人材が活躍しているそうだ。

 今後は、一般の賃貸住宅もグループホームもドミナント戦略で拡大していきたいと考える松田オーナー。自分の住む地域にさらに貢献したいという。

(2024年1月号掲載)

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