所有物件を整理して財務を改善 法人は5年ぶりの黒字
湘南エリアでアパート1棟、戸建て2戸、太陽光発電施設1カ所を経営するのは後藤みきオーナー(神奈川県茅ヶ崎市)。ここ数年で売却を進めてきた。
売却は、経営状況を改善し、将来的に融資を得るために必要だったという。「売却した物件は、利回りは良かったものの物件の評価以上の額の融資を受けている状態でした。銀行が担保の価値を考えたときにこれ以上貸せないと判断したのでしょう。新たな購入が難しくなっていたのです」と後藤オーナーは振り返る。
後藤みきオーナー(神奈川県茅ヶ崎市)
この状況を打開するため、所有物件を整理した。学んだことは、融資が下りたからとむやみに購入してはいけないということだ。「物件を買う理由を自分でしっかり持っていないと、次の購入時、その物件を所有している理由を聞かれても答えることができません。それは賃貸経営者として未熟だということです。相手の金融機関を納得させられないと、お金は貸してもらえないのです」(後藤オーナー)
▲趣味は友人たちとのサーフィン
長期入居で安定経営目指す
2017年に購入して19年に売却した物件は、7000万円の購入金額に対して売却金額が6000万円。1000万円ほど損が出てしまった。24年まで売却を待てば当時よりも高値で売れたかもしれないものの、「売却に後悔はない」と言い切る後藤オーナー。
コロナ下ではもっと悪い状況になった可能性もある。その物件を売却したことで徐々にマイナスが減り、経営が上向いてきたのだという。「勇気ある損切りが大切だと学びました」(後藤オーナー)
今期は経営する法人が5年ぶりの黒字になる予定だ。銀行も、後藤オーナーの経営力を評価してくれるようになった。「ここ数年は赤字でしたが、マイナスの中でも経営状態が改善し、持ち直している点が良かったのだと考えています」と後藤オーナーは話す。
戸数が少なくても、入居率100%で経営していくことにこだわっている。仲介会社へのあいさつの頻度も高めて顔を覚えてもらった。コツコツと関係を築いたことで、今では「空室はありませんか」といった電話も入る。「長期入居で余計な費用がかからなくなると収入が増え、財務状況もだんだん好転してきました。経営者として、安定経営と規模拡大を目指していきたいです」と後藤オーナーは抱負を語った。
▲︎新品のキッチンを入れた所有物件。売却を見据え計画的にリフォームを行っている。
(2024年8月号掲載)
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