ホットウェーブ
プライバシーを重視した見守りサービス
ソフトウエアの開発を行うホットウェーブ(東京都世田谷区)は、見守りサービス「人守」を提供する。高齢者の入居が増える賃貸住宅において孤独死対策が課題となる中、入居者のプライバシーを侵害しない見守りサービスで利用を伸ばしている。
異変を自動で通知 孤独死や夜逃げを早期発見
人守は設置したセンサーで部屋の中の動きを検知し、異常検出時にアラートを出すサービス。孤独死や夜逃げなどの早期発見につなげる。
個人で利用できる「ホームモデル」と、企業向けの「ビジネスモデル」の二つのモデルを展開。ビジネスモデルはオーナーや不動産管理会社、訪問介護事業者などが、入居者や利用者の異常を早期に発見し、万が一のときに迅速な対応を取るためのサービスだ。
センサーが室内の温度や一定期間人の気配がないなどの異変を察知すると、オーナーや不動産会社などの管理者と任意の登録先に自動的にメールが送られる。通知を受けた管理者は自社で安否確認を行ったり、入居者の家族に状況確認を依頼したりすることができる。オプションとしてコールセンターが安否確認を行うことも可能だ。
センサーで温度や音を検知 熱中症対策にも活用
▲人守のセンサー。通信機器を内蔵しており、置くだけで設置できる人守のセンサー。通信機器を内蔵しており、置くだけで設置できる
プライバシーに配慮しながらも、入居者の異常を細かく察知できる点が特長だ。同サービスでは音声や映像などは収集しない。リビングなどの入居者が必ず利用する部屋にセンサ ーを設置。
15分ごとに「温度・湿度」「二酸化炭素(CO ²)濃度」「照度」「人の動き」「音の回数」の数値を測定し、異常を検知する。「室内の温度が40度以上」や「室内温度が5度以下」など、緊急性が高いものについては「危険」と判断し、即時メールで通知する。また、「前日、室内の明るさがなかったとき」「直近の3日間、音の検知がなかったとき」などは1日に1回通知する。
高齢者に多い、室内での熱中症防止にも活用可能だ。厚生労働省が定めている「暑さ指数」に応じてアラートを通知する。そのため、熱中症に関するアラート通知があった際は、入居者に連絡して熱中症を防ぐことができる。
人守は2023年4月に販売を開始し、24年6月末時点で25社が導入している。契約形態は1カ月単位でセンサーをレンタルするリース契約とセンサーの買い取り契約の2種類だ。利用料はリース契約の場合は、月額2980円で、買い取り契約の場合は、センサー代5万9800円と、月額1480円(いずれも税込み)となる。
今後はソフトウエア開発会社である強みを生かし、提供先に合った柔軟なサービス展開による導入数の拡大を目指す。飯嶋隆人社長は「まずは課題を抱えているオーナーや不動産会社へのサービス提供に注力する。将来的には地方自治体とも連携し、入居者も家族も安心して暮らせる社会インフラの構築に寄与したい」と話す。
(2024年8月号掲載)
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