まちの価値向上の真ん中にある賃貸

賃貸経営入居者との関係づくり

コミュニティー生む各事業者の取り組み

一般財団法人住宅改良開発公社(東京都千代田区)は2023年11月28日、「あしたの賃貸プロジェクト」の第4回シンポジウム「ごちゃまぜコミュニティ×自分らしく暮らせる賃貸住宅」を開催した。当日はオンライン視聴も含めて約1300人が参加。同プロジェクトのスーパーバイザーである大月敏雄東京大学大学院教授が包括的居住支援について講演したほか、多種多様な人が参画するコミュニティーづくりを進める民間事業者らが、各自の事例を紹介した。

左から松本氏、福井氏、大月氏、稗田昭人住宅改良開発公社理事長、秋岡氏、前田氏(首藤氏はリモートで参加)

 

基調講演:まちの価値向上の真ん中にある賃貸

賃貸住宅を主戦場にした包括的居住支援が重要


東京大学大学院

工学系研究科教授

大月敏雄氏


 大月氏が登壇し、国内の空き家状況や、包括的居住支援の重要性を解説した。

 大月氏は、2018年のデータで国内には使用する当てがない「ほったらかし戸建て」が約252万戸、貸したいが空いている賃貸用共同住宅の空き家が約378万戸存在すると紹介。

 一方、近年は高齢者や低所得者、障がい者、被災者、外国人、LGBTQ+(性的少数者)ら住宅確保が困難な人々が増えている。それらの人々を受け入れる施設も広がっているが、そこに「民間賃貸住宅の空き家が活用できる」と大月氏は話す。

 その際に重要なのが「包括的居住支援」で、①対象②時間③相談④地域⑤住宅の五つの包括性を兼ね備えるべきだという。例えば、対象の包括性は、制度の枠に収まらない、あるいは隙間にいる人も対象にすることである。また、相談の包括性は居場所がない人が気軽に集まって相談もできる場の確保などだ。

 その中でも大月氏は住宅の包括性において、民間賃貸住宅の空き家のほか、「公営住宅の空き家や各種福祉施設も住宅資源として活用すべき」と指摘。「居住支援は人ごとではなく自分ごとの課題だ。解決には賃貸住宅が主戦場になる」と強調した。

 

 

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