My賃貸経営スタイル:相続した駅前ビルの入居率を改善

賃貸経営空室対策

相続した駅前ビルの入居率を改善 賃料を見直し、建物をメンテナンス

 

和田寛オーナー(65) (川崎市)

 東京メトロ千代田線と小田急線が乗り入れ、交通の利便性が高い代々木上原駅周辺は、人気のエリアだ。その駅前に5階建てビルを所有する和田寛オーナー(川崎市)は「私が子どもの頃は1964年の東京五輪開催に向けて、山手通りなどの道路工事が盛んな時期。ぜんそくになるような環境だったのですよ」と話す。

 父親は緑茶販売事業を営んでいて、自宅兼店舗は井の頭通りの近くにあった。90年に道路の拡幅工事で立ち退くことになったが、代々木上原駅前に20坪弱の土地をタイミングよく購入することができたという。
「父はお茶の仕事に見切りをつけ、ビルを建てて賃貸事業を始めました。1階から3階が店舗、4階と5階が自宅です。私も家業についていましたが、業態転換を機に、一般企業に就職しました」(和田オーナー) 和田オーナーが賃貸経営に関わることになったのは、2010年のこと。父親が高齢になったためだ。
 「駅前という好立地ながら、父は入居者のことをあまり考えていなかったので、短期入居で終わったり、2~3年空室が続いたりしていました。私はこのビルなら収益をもっと上げられると思いましたね」(和田オーナー)

所有する代々木上原駅前のビル


 両親の自宅だった4~5階はメゾネットタイプの住戸に改修して貸し出し、テナントは相場よりも高かった賃料を下げた。竣工以来、建物のメンテナンスを行っていなかったため、外壁修繕と防水工事も行った。
「テナントにネイルサロンが入ることになり、女性客がメインだと考えて、防犯カメラを設置しました。テナントのお客さんの命も預かるのが、ビル経営者の使命ですから」(和田オーナー)
 こうした取り組みにより、和田オーナーが引き継いでから入居したテナント、住戸はともに10年以上の長期入居が続いている。

アパート購入して夫婦で賃貸経営

和田オーナーと妻の洋子氏

 

 和田オーナーは13年から賃貸経営を本格化し、ビルを担保に東京都大田区と江戸川区に計4棟のアパートを購入した。いずれも新築で、そのうち1棟は土地から仕入れてテラスハウスを建てた。「相続したビルが古く、建物管理の難しさを感じていたので、管理の手間が少ない新築を選びました」(和田オーナー)


 賃貸経営を行う中で頼りになったのが、妻の洋子氏だ。「私が賃貸事業に関わるなんて思ってもみなかったです。入居者や管理会社と付き合ううちに、夫から任せられるようになって」と洋子氏は話す。


 購入した4棟は現在、すべて売却している。和田オーナーは「それぞれ、高値で売れそうなタイミングで売却しました。今は新築の賃貸住宅か中古のビルの購入を検討中です」と話し、夫婦で物件探しにあたっているという。

(2024年3月号掲載)

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