My 賃貸経営スタイル:老後の2拠点を目指す

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老後の2拠点を目指す 移住者目線で入居者獲得

 「老後は沖縄県と東京都の2拠点生活をしたい。そんな気持ちで物件を買い進めています」。こう話すのは、2020年から夫と二人三脚で賃貸経営を行う松井裕子オーナー(東京都文京区)だ。現在所有する戸建て7戸とアパート2棟16戸のうち、戸建て2戸とアパート1棟が沖縄県にある。

松井裕子オーナー(東京都文京区)

 「沖縄で生まれ育った人たちは、便利な都市部に住みたがります。ですが、移住希望者にとっては海への近さがポイントになるのです」と話すように、どの物件も、徒歩2分以内で海岸に出られることに魅力を感じて購入した。移住希望者を狙うことで、家賃設定も沖縄の戸建ての平均賃料より高めの9〜12万円前後で貸し出すことができているという。「2拠点生活の沖縄拠点として借りてくれるケースもあり、沖縄の物件はすべてターゲットとした移住者が入居しています」(松井オーナー)

▲(左・After、右・Before)中古物件は水回りにこだわってリノベを行っている

 栃木県宇都宮市にある実家の土地にいずれ賃貸住宅を建てたいと考え、19年ごろから不動産投資家が集まる勉強会に出席していた。最初の物件は、当時暮らしていた仙台市での購入。しかも1棟目から新築を手がけた。

「先輩家主たちが新築を建てているのを見て、自分もできるのではないかと思った」という思い切りの良さで、1LDKが7戸ある長屋式のアパートを20年に竣工した。

「女性入居者はキッチンの中を見られたくないだろう」と考え、対面式キッチンを採用。またポータルサイトでの「映え」を意識してヨーロッパ風のアクセントクロスを取り入れた。女性ならではの目線を生かし、こだわりを取り入れた新築は、竣工から程なくして満室になった。

水回りは購入時にリノベ職人は面接して採用

 2棟目以降は中古の戸建てやアパートを購入。新築同様にこだわりを追求した物件にするため、予算の上限を150万円に定め、内装も水回りも徹底的にリノベする。例えば札幌市で購入した戸建ては、物件を400万円で購入し、リノベに150万円をかけたという。それでも賃料は7万8000円で利回りは17%を確保している。

 遠隔地にある物件を経営する場合、リノベや修繕を依頼する職人とのやりとりに課題が発生する場合もあるだろう。だが、松井オーナーの場合は職人とのやりとりもスムーズにできているという。沖縄で最初の物件を購入した際、20人ほどの職人と面接をしたのがよかったと考えている。実際にリノベをする物件に職人に来てもらい一人一人と話をした。当時、新型コロナウイルス下で仕事の受注が停止していた腕のいい職人に出会えたという面もあるというが、仕事を安心して任せられる人たちを最初の段階で見極められたのも大きかった。円滑な賃貸経営はいいパートナーがいてこそだと考える。

(2024年10月号掲載)
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