47棟304戸をすべて自主管理 20年で買い進めて財産築く
現在、新潟県長岡市内に47棟304戸のアパートを所有する八木金夫オーナー(新潟県長岡市)。家族で八木建築事務所(同)を営む傍ら、賃貸経営を行っている。
八木金夫オーナー(70)(新潟県長岡市)
毎朝所有アパートを見回る
「建築は仕事に波がありますが、家賃収入には波がないので事業同士の相性がいいのです。多少の修繕は自分でできますし」と話す。総資産は11億円ほど。2025年には一つの目標としていた「借入額より貯蓄額のほうが多くなる状態」を達成できる見込みだという。
アパートは自宅周辺に所有し、すべて自主管理している。週2~3回の修理依頼やクレーム対応のほか、毎日数棟ずつ物件を見回り、共用部が散らかっていないか、駐車場にマナー違反はないかなどをチェック。清潔で安全な管理を心がけている。「朝4時に起き、5時ごろ家を出て、アパートを見て回っています。内見者は管理状況を見て物件を選びますから」(八木オーナー)。努力が実を結び、現在の入居率は約96%だ。入居者から感謝されることも多い。時々トラブルもあるが、さまざまな入居者の人生に関われることが賃貸経営の喜びだという。
副業での貯金で経営開始
▲物件は第一印象を大事にしている。家賃が高めでも入居が決まりやすいという
中学卒業後、住み込みの大工見習いとして社会に出た八木オーナー。いったんは独立するも、仕事が少なく地元の建設会社に入社した。22年間勤めた後、49歳で退職。再び建築事務所を立ち上げた。そのときに収入のもう一つの柱にしようと、賃貸経営を始めたという。「実は、勤めていた建築会社は、社長に苦言を呈した際に突然解雇されてしまったのです。今思うと、そのときの悔しさがばねになって頑張ってこられたのだと感じます」(八木オーナー)
退職の数年前から八木オーナーはいつかまた独立したいと考え、資金を得るために新聞配達、大工としてリフォーム、保険の代理店といった副業を行っていた。結果的に突然の退職になったが、副業でためた8000万円の現金があったため、すぐに賃貸経営を始めることができたという。まずは新築1棟と中古2棟を現金で買った。その後はレバレッジを効かせながら年に2棟程度のペースで物件を増やしていった。
▲新築物件にはガス乾燥機を設置。1台20万円ほどするが、入居者からは好評だ
家族経営へのシフトが目標
賃貸経営を始めて今年で20年となる。八木オーナーは、「私の好きなものは仕事と日本酒。自主管理は苦にならないので、ずっと続けていきたいです」と話す。近年は娘と息子が手伝ってくれるようになった。今後5年程で賃貸事業を本格的に家族経営へシフトしていくのが目標だ。
(2024年10月号掲載)
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