ヤギと子供の声と多様性に開かれた地域の縁側

賃貸経営入居者との関係づくり

コミュニティー生む各事業者の取り組み

一般財団法人住宅改良開発公社(東京都千代田区)は2023年11月28日、「あしたの賃貸プロジェクト」の第4回シンポジウム「ごちゃまぜコミュニティ×自分らしく暮らせる賃貸住宅」を開催した。当日はオンライン視聴も含めて約1300人が参加。同プロジェクトのスーパーバイザーである大月敏雄東京大学大学院教授が包括的居住支援について講演したほか、多種多様な人が参画するコミュニティーづくりを進める民間事業者らが、各自の事例を紹介した。

左から松本氏、福井氏、大月氏、稗田昭人住宅改良開発公社理事長、秋岡氏、前田氏(首藤氏はリモートで参加)

 

事例講演:ヤギと子供の声と多様性に開かれた地域の縁側

多世代利用者と地域住民がつながる複合施設

未来企画

(仙台市)

代表取締役 福井大輔氏

 福井大輔氏が代表取締役を務める未来企画(仙台市)は、同市若林区の七郷エリアで小規模多機能ホームなどを運営する。

 七郷エリアは、75歳以上と65歳以下の同居率が約54%。同居家族が仕事や学校に向かう日中は独居状態になる高齢者が多い。

 そこで、福祉の視点でそれらの課題を解決するまちづくりができないかと、2018年に多世代交流複合施設「アンダンチ」をオープンした。54人が入居する高齢者向け住宅のほか、障害者就労支援事業所、保育園、看護小規模多機能型居宅介護などで構成し、年齢、性別、障がいのあるなしにかかわらず、多くの人々が利用している。また、就労支援事業所に通う障がい者に向けて、施設内の各事業所の清掃や補助業務などの仕事も創出している。

 地域の人々がアンダンチを訪れたくなる仕掛けも進める。外部の人が利用できる食堂・物販店、駄菓子屋を設けているほか、敷地内の広場には遊具を置き、2頭のヤギも飼育。それらを目当てに地域の子どもたちも訪れる。また、地域の子育てサークルなどに施設内のスペースを提供している。これにより、「外部の人にもアンダンチがどのような施設か知ってもらえる」のだ。新型コロナウイルス下においては子育て世代も社会から分断されるなどの課題を抱えていたが、解決の一助になることもできた。

「福祉は地域に開かれるべき。施設利用者は地域と関係性を持てて、地域住民も福祉を自分ごとにできる」(福井氏)

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