遠くのシンセキより、近くのタニン

賃貸経営入居者との関係づくり

コミュニティー生む各事業者の取り組み

一般財団法人住宅改良開発公社(東京都千代田区)は2023年11月28日、「あしたの賃貸プロジェクト」の第4回シンポジウム「ごちゃまぜコミュニティ×自分らしく暮らせる賃貸住宅」を開催した。当日はオンライン視聴も含めて約1300人が参加。同プロジェクトのスーパーバイザーである大月敏雄東京大学大学院教授が包括的居住支援について講演したほか、多種多様な人が参画するコミュニティーづくりを進める民間事業者らが、各自の事例を紹介した。

左から松本氏、福井氏、大月氏、稗田昭人住宅改良開発公社理事長、秋岡氏、前田氏(首藤氏はリモートで参加)

 

事例講演:遠くのシンセキより、近くのタニン

多種多様な登場人物が集い、ニーズに応える

Happy (神戸市)代表取締役社長 首藤義敬氏

 

 神戸市長田区で多世代型介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」(以下、はっぴーの家)を運営するHappy(ハッピー:神戸市)代表取締役社長の首藤義敬氏が登壇。

 首藤氏が仕事と親の介護、子育てが重なり生活に制約が出てきたとき、「何かを諦めるのではなく、自分のしたい仕事、介護、子育てを全部追求しよう」と形にしたのがはっぴーの家だ。

 子どもや認知症を患う高齢者から外国人まで、入居者に限らず多種多様な人々が集い、1週間に約200人が出入りする。幼児と高齢者が一緒に赤ちゃんの子守をすることも日常の光景だ。高齢入居者をみとることもある。「普段から互いの関係性が濃いため、一緒に過ごした子どもたちも悲しみより先に感謝の気持ちが湧く」(首藤氏)という。来訪した外国人を仲間に受け入れ、その彼の仕事を周辺住民で探すということもあった。

 多世代でのにぎわいを聞きつけて、はっぴーの家の周辺には子育てをする人の移住も増えている。首藤氏は「コミュニティーの中に登場人物を増やせば、いろいろな人のニーズに応えることができる」と話す。

子守をする子どもたちと、それを見守る高齢者

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