賃貸住宅の内窓に関するセミナー オンライン開催で約100人集まる
9月5日、全国賃貸住宅新聞社(東京都中央区)は「補助金が出る今がチャンス 内窓設置で省エネ賃貸住宅化セミナー」をオンラインで開催。3部構成で行い、当日視聴は100人を超えた。
賃貸住宅における内窓の効果
第1部では、環境省地球環境局住宅・建築物脱炭素化事業推進室の寺井徹室長が登壇。賃貸住宅の脱炭素化について話した。二酸化炭素(CO2)排出量を削減するための窓の熱伝導対策の重要性について解説。住宅では、開口部からの熱の出入りが多い。高性能窓ガラスを導入すると、電気使用量の削減が可能だという。現在、集合住宅における高性能窓ガラスの導入数は、戸建て住宅に比べて低い。「賃貸住宅に、高性能窓ガラスを普及させることは、省エネルギーの面からも入居者の健康面からも重要です」と寺井室長は語った。
▲暖かい部屋は子育てにも好影響
第2部では、YKK AP(東京都千代田区)公式社員でユーチューバーのずーしみこと清水陽介氏が内窓の断熱効果について話した。住宅で内窓を導入するメリットは、暑さ・寒さの解消による光熱費削減や防音性・防犯性向上のほか、結露・紫外線の防止などと説明。賃貸住宅も「先進的窓リノベ2024」事業の補助金を受けて設置することによって、物件のグレードアップに加え、入居率向上も狙える。メリットは大きいと語った。
防音・省エネへの入居者の要望
第3部では、賃貸住宅の内窓に対する入居者ニーズについての座談会を行った。一般社団法人全国賃貸住宅内窓普及協会(浜松市)の佐藤元代表理事、巾竜介専務理事、高橋哲也理事、第2部に引き続き清水氏が参加。モデレーターは本誌編集長の永井ゆかりが務めた。
▲第三部、座談会の様子
佐藤代表理事は、賃貸住宅における騒音問題が多いにもかかわらず、その解決策となる内窓が賃貸住宅ではほとんど設置されていないことが問題だと感じているという。「賃貸物件の入居者は、車を燃費で選ぶように、24年4月導入の省エネ表示を見て、性能で物件を選んでもらいたいですね。また家主は内窓を設置して物件の差別化を図り、入居者に選んでもらえる物件に改修してほしいです」と話した。
内窓は断熱性能の高さに注目されがちだが、設置後に防音性の高さに感動する入居者が多いと清水氏も話す。内窓を設置すると、元の音量から半減して聞こえるといわれる15デシベル程度下がるという。
巾専務理事は、「内窓を設置するためには7cmほどの窓枠のスペースが必要です。スペースが足りない場合には、枠を付け足すことで取り付けられるので安心してほしい」と話す。また施工事業者が補助金を申請するため、家主の手間はかからないという。
高橋理事は先進的窓リノベ2024事業の補助金により、内窓導入の補助率が57%に上る例を紹介。ただ補助金の予算には上限があり、早めに検討を進めることが大切だという。申請期限は遅くとも12月31日までのため、年末にかけての駆け込み需要によって、施工事業者の予約が取りにくくなる可能性がある。「設置を考えている人は早めに動き出してほしい」と話した。
(2024年11月号掲載)
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