賃貸住宅フェア 2024in東京 セミナーダイジェスト:管理会社との付き合い方

賃貸経営賃貸管理

8月6〜7日の2日間、「東京ビッグサイト」で開催された「賃貸住宅フェアin東京」から、セミナーレポートとして2つの講座をダイジェストとして紹介します。

セミナーテーマ
約300戸を高稼働で運営する管理会社との上手な付き合い方

■講師
仙台大家の会(仙台市)現地世話人 菅原貴博氏(53)

管理会社と対等な関係を築く

 私は中古物件取得の際に、その物件を担当していた管理会社をほかの会社に変更してこなかった。オーナーチェンジで管理会社まで変わってしまうと、以前の話を責任を持ってできる人がいなくなり、それが経営上のリスクになると考えるからだ。
 結果として多数の管理会社と付き合ってきた。同じエリアで同じくらいの規模で賃貸管理をしていても、会社の社風や仕組みは違い、そこで育つ人材の方向性や得手不得手も異なる。管理会社は組織ではあるが、家主と実際に付き合うのは担当者で、結局は個人。個人と個人の関係となると、どうしても好き嫌いが出てくる。好き嫌いで仕事をするべきではないというのは正論だが、物事を円滑に進めるうえでは嫌われるより好かれたほうが絶対にいい。
 管理会社の人と酒の席で話すと、だいたい付き合いにくい大家さんの話題になる。そこで出てくるのは、せっかく入居者が入ることになっても、嫌な大家さんには付けたくないですよね、という話。そんなことを何度も聞いていたので、管理会社と良い関係を築かなければいけないと強く思うようになった。

実害を伴わないミスはミスと考えない

 私が管理会社と良い付き合いをするために心がけるのは2点。一つ目は管理会社との関係性。管理会社に不満があるとき、自分の思うとおりに管理会社が動かないのではなく、自分が管理会社をうまく動かすことができていないと考えるべきだ。管理会社は大事なビジネスパートナーだが、極論をいえば、ただ契約関係にあるだけの相手。そこに上下関係はない。家主側が偉いと考えるのは大家が犯しすい間違いだ。
 特に意識しているのは「実害を伴わないミスは、ミスと考えない」ということ。管理会社は謝るのが癖になっている場合が多い。謝られると、偉くなった気分になるだろう。これが続くと大家はどんどん横柄な態度になってしまう。私は、問題があっても最終的に解決すれば、その過程はどうでもいいと考える。何かあって相手が謝っても、実害がなければ「謝る必要がない」と伝える。これも管理会社と仲良くするための努力の一つだと思っている。
 二つ目はコミュニケーション。大切なのは「自分の考えをわかりやすく相手に伝えて納得してもらうこと」だ。そのうえで自分の思いどおりに相手に動いてもらい、成果につなげる。これが重要だ。ここで間違いやすいのが、伝えるだけでいいと考えてしまうこと。自分が言いたいことだけ言う、一方的に指示をする、叱責する。これは自己満足であってコミュニケーションではない。ミスが発生したときにすべて相手のせいにしていては管理会社は動かない。
 話し方にも注意したい。相手と良好な関係を築きたいのなら、下手に出る、褒める、嫌みを言わない。逆に考えてみると、上から目線で、けなして、嫌味を言う。こんな相手と付き合いたいと思うだろうか。
 管理会社と仲良くすることは、結果として客付けに差別化をもたらす。そう考えて、管理会社との関係を見直してもらいたい。

仙台大家の会(仙台市)現地世話人 菅原貴博氏(53)

[プロフィール]1971年、仙台市生まれ。地元大学を卒業後、95年、地元で就職。2004年、不動産1棟目を取得。これまで、RC造マンション、木造アパートの取得や、デザイナーズアパートの新築、築古物件のリノベーションなどを経験し、現在は23棟284戸を所有。13年、専業大家になる。08年の「仙台大家の会」発足時より、世話人を務める。

(2024年12月号掲載)
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