入居者との思い出:緩やかな心地いいつながり

賃貸経営入居者との関係づくり

集合住宅での暮らしを豊かにする 緩やかな心地いいつながり

 JR京浜東北線北浦和駅から徒歩10分の場所にある「コミューンときわ」は「心豊かな暮らしを育みたい」という船本オーナーのこだわりを詰め込んだ、全55戸の賃貸集合住宅だ。1階には飲食店も入居するほか、住民が憩い、コミュニケーションを取る場として設けられた中庭や屋上庭園、スタジオなどの共用部では、夏祭りやクリスマスパーティー、忘年会などが開催されている。

船本義之オーナー(70)(さいたま市)

[プロフィール]ふなもと・よしゆき
1954年、埼玉県朝霞市生まれ。77年に大手銀行入行。25年間勤務後、不動産賃貸管理会社へ出向、転籍し、18年間勤務する。2018年、不動産管理会社のエステート常盤(さいたま市)を設立。コミューンときわ、シェアハウス1戸を運営中。

▲充実した共用部などが魅力のコミューンときわ

 「旧中山道の宿場町だった浦和には、芸術的な才能のある人や士業に就く人など、さまざまな分野で能力を発揮する人が多く居住しています。こうした人たちがつながれば、新しいコミュニティーができるのではと考えました」(船本オーナー)

 同物件には、外国人の入居者も多い。その中の一人に、サウジアラビア出身の33歳の女性Aさんがいる。Aさんは15年前に京都の芸術系の大学に留学するため来日。卒業後、東京にあるサウジアラビアのアニメ制作会社に就職し、3年前に同物件に入居した。船本オーナーがどんなアニメを作っているのかと尋ねたところ、「『まんが日本昔ばなし』のサウジアラビア版のようなものを作っている」との返事だった。「ぜひ見てみたいですね」と言ったところ、サウジアラビアという国を知ってもらう良い機会だと快諾され、2022年、スタジオで「お茶会&上映会」が開催された。

 イベントにはファミリーを中心に30人弱が集まり、盛大な会となった。取り扱いに慣れている入居者に手助けをして、スタジオに設置された大きなスクリーンの映写設備を使い、昔話2本を上映した。また料理が得意な入居者の協力の下、Aさんのレシピで作ったサウジアラビアの伝統料理も振る舞われた。さらに、Aさんからサウジアラビアの紹介もあった。 

▲お茶会&上映会で振る舞われたサウジアラビア料理

「他国の文化を学びながら、楽しい時間を過ごしました。定期的な映画の上映会など、入居者が立案したイベントやワークショップも増えています」と船本オーナーは笑顔で語る。長く愛されるコミュニティーのある集合住宅をつくりたいという夢は、徐々に形になりつつある。

(2025年1月号掲載)

一覧に戻る

購読料金プランについて

アクセスランキング

≫ 一覧はこちら