【特集】飼育ニーズ拡大中 ペット 共生物件③入居者支援充実

賃貸経営空室対策

リノベ&新築で実現する ペットも快適に暮らせる住まいづくり

既築物件をリノベーションする場合と新築する場合とに分けてポイントを解説する。

入居者支援を充実させ交流も促す

旭化成ホームズ(東京都千代田区)マーケティング本部集合住宅事業推進部
マーケティンググループ 横田竜氏(42)

外構と住戸内に数々の工夫

 大手ハウスメーカーの旭化成ホームズ(東京都千代田区)は、ペット共生型賃貸物件「ヘーベルメゾン+(プラス)わん+にゃん(以下、+わん+にゃん)」を1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)を中心に、2343棟・1万4571戸(24年9月末時点)展開している。

 物件の規模は1棟2戸~30戸程度。共用部には入居者同士が軽いあいさつや会話を交わせるように、入居者とペットが使用可能な足洗い場やベンチなどを備える。

▲入居者同士で緩やかなコミュニティーが形成されることを狙う

 各住戸内では、ペットが落ち着ける「ペットスペース」を設けているほか、引っかきによって傷んだ壁紙の貼り替え範囲が少なくなるように、あらかじめ上下に貼り分けるといった工夫がなされている。見守りのためのIoT機器も設置可能だ。

 ドッグランを設けた場合といった外構工事を除いて、前述したような各住戸内の設備をそろえることについて、同社マーケティング本部集合住宅事業推進部マーケティンググループの横田竜氏によれば、建築コストが若干上がるが付加価値が付いた分、賃料アップで十分にペイできるという。一方、賃料は、ほとんどの物件で周辺相場よりも高いそうだ。

催しでコミュニティー創出  

 ハード面もさることながら、+わん+にゃんの大きな特徴が、入居後のペットライフを支えるサポートや、入居者同士のコミュニティー形成を後押しするイベントだ。

 入居者は、入居者専用ウェブサイトを通じて、同社専属の獣医師にペットの健康に関する無料相談が可能なほか、ドッグトレーナーに出張してもらい、自宅で無料のしつけレッスンを受けることもできる。サイトではペットに関するコラムやイベント情報も発信している。

 イベントは、同社が主催し、犬向けと猫向けに分けて開催している。犬向けは運動会や年賀状撮影会、猫向けは愛猫を模したオリジナルグッズづくりや専門家によるセミナーなどで、毎回盛況だという。参加者からは「ほかの入居者と知り合えて、大切なペットの思い出にもなる。毎年参加しても飽きない」といった声が挙がっている。

 同社が実施した調査で、+わん+にゃんへの入居者の満足度は94%を超えている。横田氏は「転勤で退去した人が、赴任先でも+わん+にゃんの物件を探す例も見られます」と語る。

▲散歩の前後に腰掛けることができるスツールやベンチ

(2025年1月号掲載)
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