街の風景 写真は語る:高校生が民泊経営

賃貸経営地域活性

高校生が民泊経営、ローカル体験提供へ
学びながら地域の価値を見いだしていく

 高校生が企画から運営までを担う民泊が2月にオープンした。NPO法人キリンこども応援団(大阪府泉佐野市)が運営するフリースクール「キリンのとびら」高等部の生徒が主体となる事業だ。同法人が拠点とする建物に隣接する築70年の空き家を民泊「compass(コンパス)」として再生し、定員5人の一棟貸しで経営していく。

▲高校生が運営する民泊compass。オンリーワンの民泊を目指している

 民泊開業に必要な初期費用は一部をクラウドファンディングにより調達。物件は、所有者から同法人が借り上げた。民泊事業により得た利益は、フリースクールに通う子どもたちが1人暮らしや自動車の運転免許を取得する際などの自立支援金として活用する。

 同民泊は南海電気鉄道南海線泉佐野駅から徒歩3分ほどの場所にある。観光客やビジネスでの訪問者の多くは、2駅隣の関西空港駅を目的地とするため、特別に人が降り立つエリアではない。そんな中で挑む民泊のターゲットは、インバウンド(訪日外国人)だ。民泊周辺の商店街や神社を一緒に訪れる、といった日本の日常の体験を地域で提供することで差別化を図る。高校生が同民泊に掲げたコンセプトは「安らげる居場所と心満たされる体験」だ。

 民泊事業は、フリースクールでの「経営を学ぶ」という学習の一環として始まった。同法人の水取博隆代表理事は「経営を学ばせるうえで民泊を選んだのは、地域とつながることができるから」と話す。場合によっては、食事などを宿の外で提供する民泊にとって、まちの魅力は重要だ。「生徒たちの視点で地域資源を見直し、地域の価値を見いだしていきたいです」(水取代表理事)

(2025年 4月号掲載)

一覧に戻る

購読料金プランについて

アクセスランキング

≫ 一覧はこちら