My賃貸経営スタイル:充実の設備で差別化

賃貸経営不動産投資

充実の設備で周辺物件と差別化 新築物件の運用に加え売却益も確保

 村松裕之オーナー(神奈川県秦野市)は、神奈川県内に2棟13戸の木造アパートを所有する。相模鉄道相鉄本線二俣川駅近くの物件は23年、JR橋本駅近くの物件は24年に新築した。それぞれ2階建て7戸と、3階建て9戸を有し、現在は2棟とも満室だ。

村松裕之オーナー(70)(神奈川県秦野市)

 「時代ごとの入居者ニーズに合った賃貸住宅を経営したい」という考えから、新築物件でもあえて5年程度で売却し、別の場所での新築を検討している。
 現在の所有物件は、利回りが10%から11%ほどあり、数年以内には、6・1%から6・4%程度の売却益を得て売却するつもりで所有しているという。

過去の経験を生かした戦略

 このように、村松オーナーは、4年から7年ほどで新築をローテーションする経営スタイルを想定している。背景には、すでに売却した埼玉県和光市のアパートでの苦い経験があった。

 村松オーナーの賃貸経営は20年前、50歳の時に始まった。東京都渋谷区にマンションを購入し、それまで住んでいた練馬区のマンションを人に貸したのがきっかけだ。その後、実家に戻ることになり、渋谷区のマンションも貸し出し始めたが、入居者が購入を希望したため売却した。
 「練馬のマンションではそれなりの家賃収入が得られたし、渋谷の物件も購入額より高く売れ、不動産経営を面白いと感じ出していました」(村松オーナー)

 そんな折、不動産投資のセミナーに出席し、勧められるままに購入してしまったのが和光市の木造アパートだった。
 購入後、物件内で孤独死が発生し、その上夏場で発見までに3週間ほどたっていたことで、150万円ほどかけて3度も特殊清掃を入れる必要があった。

 「当時は孤独死に適用される保険があることも知らず、大変な費用を支払うことになってしまいました。そして、やはり中古物件にはこうしたコストがつきものだと実感しました」(村松オーナー)

立地と設備で高賃料を実現

 この経験以来、村松オーナーは新築にこだわった投資を心がけているという。

 現在所有している物件では、最新のトレンドに合わせた設備を充実させている。宅配ボックスや敷地内のごみ置き場といった定番の設備に加え、インターネットは2GB(ギガバイト)の高速インターネットを採用。窓ガラスも断熱性の高いLow─E(ロウイー)ガラスにしている。さらに、単身者向けの間取りでも広めの浴室と3口コンロがあり、ほかの物件との差別化になっている。

▲24年に新築した元橋本の物件

 立地もこだわり、特に二俣川の物件では、周囲が丘陵地で坂道が多いことを考慮し、駅からの高低差があまりない場所を選んだ。

 さまざまなこだわりを反映した結果、家賃は周辺の新築相場に比べて3千円ほど高い。入居者は、ほぼ全員が若い会社員だ。

 付加価値のある新築物件を良い状態に保ち、築浅での売却益も見込んで運用する。過去の経験を生かして確立させた経営スタイルだ。

(2025年 4月号掲載)

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