水回りからキャットステップまでDIY 内装と物件写真が特徴の猫飼育可物件
吉田英孝オーナー(東京都新宿区)は、現在、2戸のテナントと18戸の住宅を賃貸経営している。2012年に父親から新宿区の自宅を含む5階建てのビルを相続。この建物には、ほかに2DKの住戸が2戸とテナントが2件入る。相続の翌年に埼玉県朝霞市、14年に同県さいたま市に、それぞれ8戸の中古木造アパートを購入した。
吉田英孝オーナー(69)(東京都新宿区)

吉田オーナーは、購入当時から入居付け以外は自身で管理業務を行っており、リフォームもDIYで行う。デザインにもこだわった内装は、若い女性に人気だ。
自身で購入した物件のリフォームを進めるうち、新宿区にある相続したビルにも空室が出た。この時には、仲介事業者が「オーナーが自らデザインした内装ですよ」と言ってさいたま市の物件写真を見せ、リフォーム前にもかかわらず契約が決まった。近隣の大学に入学を決めたばかりの大学生がいる3人家族だった。
入居者に合わせたリフォーム
当時、この部屋には3点ユニットバスが設置されていた。吉田オーナーは、3人が住むには水回りを含むリフォームが必要だと判断。しかし、建築した工務店に相談したところ「水回りまで変更するのは無理ですよ」と言われ、逆にやる気に火がついて自身での改装を決意した。
「じゃあ自分でやってやるよという気持ちで始めましたが、やはり思ったよりも時間がかかりました」(吉田オーナー)
工務店からの指摘どおり、水回りのリフォームは難航した。トイレと風呂、洗面台の配置をすべて変えるため、配管に傾斜をつける必要があり、床に段差をつけて対応した。
「入居後はとても気に入っていただき、娘さんが大学を卒業しても入居し続けてもらえています」(吉田オーナー)
猫好きのための建具が充実
吉田オーナーは、今でも自らリフォームを行っている。さらに内装が完成すると、ホームステージングを行い、撮影用の多灯のストロボライティングを使用して物件写真を自分で撮影する。航空機事業会社で航空写真に関わったり、自身で現像事業や撮影スタジオを手がけたりした経験が生かされている。
吉田オーナーが購入したアパートは、購入時それぞれ築32年と38年と築古だ。特にさいたま市の物件は、駅からも徒歩13分と少し遠い。そこで、2DKの広めの間取りを生かして「猫の飼育可」とした。

▲壁に猫の通り道をつくった室内
室内の壁にはキャットステップを設け、かもいの高さに猫の通り道も設置。部屋と部屋の間には、猫が通れる大きさのトンネルもつくった。朝霞市の物件では、新型コロナウイルスの影響で退去が増えたことで、こちらも猫の飼育可とした。1Kの間取りだが反響は大きく、空室は無事に埋まったという。
「私自身は犬派ですよ」と笑う吉田オーナーだが、猫を飼う入居者の気持ちはしっかりとつかんでいるようだ。
(2025年 5月号掲載)