電子版:不動産再生学講座レポート第1講② by次世代不動産経営オーナー井戸端セミナー

賃貸経営不動産再生
  • HOME
  • 賃貸経営
  • 不動産再生
  • 電子版:不動産再生学講座レポート第1講② by次世代不動産経営オーナー井戸端セミナー

第1部  次世代不動産経営のための不動産学を実学から学ぼう
第1講『実学の不動産学から、次世代人財を創る人たち』②

不動産業界において大きな変化が起こりつつある。そうした中、「不動産オーナー井戸端ミーティング」を主宰する𠮷原勝己オーナー(福岡市)が中心となり、貸し手と借り手、そして地域にとって「三方良し」となる、持続的でブランディングされた不動産経営を目指す勉強会を有志で開催している。
当連載では、建築・デザインを学ぶ学生たちと、全国から集まったプロフェッショナルが一緒に受講する場として、九州産業大学建築都市工学部で行った全14回の「不動産再生学」と題した寄附講座を紹介。今回は、これから不動産を使ってまちの未来を創る起業家、および事業家に向けたキャリア形成術について語られた、樅山(もみやま)英宗氏の講演をレポートする。

新しい時代のキャリア形成

e-Fits Lab(イーフィッツラボ:福岡県大野城市)
樅山英宗代表取締役

皆さん、YouTube(ユーチューブ)などで「FIRE(ファイア)」という言葉を聞いたことがありますか? この言葉は「Financial Independence, Retire Early(ファイナンシャル インディペンデンス、リタイア アーリー)」の略で、経済的自立を早期に達成して会社をリタイアするという考え方です。若い世代から注目を集めており、不安定な社会に対する一種の解決策として捉えられています。ただし、FIREを形だけ真似すると痛い目に遭うこともあるので、慎重に考える必要があります。今日はこのテーマを含め、学生だけでなく、プロの皆さんにとっての3つの武器についてお話しします。

第1の武器 – 社会の地図を理解する

社会人には、自分がどのような立場でどのように収入を得るかを理解することが重要です。このために「4つの象限」と呼ばれる構造を学んでおきましょう。

従業員(左上): 時間を提供して給料を得る人たちです。サラリーマンやアルバイトが該当します。
自営業者(左下): 自分の能力や技術を活かして収入を得る人たちです。医師や弁護士、インテリアコーディネーターなどが該当します。
事業オーナー(右上): 自分で会社をつくり、仕組みを通じて収入を得る人たちです。
投資家(右下): 自分の資産を活用して収入を得る人たちです。不動産投資家や株式投資家がこれに該当します。

左側の象限は、自分の時間や能力を使って収入を得るものですが、右側は自分以外が働いてくれる仕組みをつくり、そこから収益を得るものです。これら4象限のどこにポジションを取るかが、キャリア形成において重要な選択になります。
お金がどのように流れているのかも重要です。例えば、企業で働く従業員の給料は会社が得た利益の一部ですが、その大部分は株主に還元されます。フランスの経済学者トマ・ピケティの研究によると、世界人口の上位10%が全財産の約76%を所有している一方、下位90%が残りの24%を分け合っています。この格差を理解し、いかに投資家としてお金の流れに参加するかを考えることが必要です。

第2の武器 – 1万時間の原則で専門性を磨く

社会人として考えるべきことは、1つの専門分野で「1万時間」を積むことです。この1万時間は、1日8時間働いて約6年間に相当します。この期間を通じて、自分の専門性を磨き、100人中1番の存在を目指しましょう。

1つの分野で結果を出した後は、隣接する分野で2つ目の柱を築きます。さらに、3つ目の分野は遠くの領域にチャレンジして、3つの分野で希少性を高めることが理想です。このように複数の分野をまたぐことで、自分だけの価値を持つ「レアキャリア」を形成することができます。

第3の武器 – 生成AIと新時代のスキルを活用する

これからの時代、生成AIなどの新しい技術を活用することが求められます。AIや最新技術を使いこなすことで、ほかの人には真似できないスキルを身につけることが可能です。ただし、技術を活用するには「覇気」や「やる気」といった内面的な強さも必要です。これらが欠けてしまうと、いくら技術力があっても結果を出すのは難しくなります。
また、ポジションを取る際には、自分自身を制約する肩書きだけではなく、自分が情熱を持って取り組める広い視点を持つことが大切です。例えば「インテリアコーディネーター」だけでなく、「建物好きの変態」というように幅広い興味を持ってキャリアを形成していくことが重要です。

職業の選択肢 – 最初の一歩をどう踏み出すか

可能であれば一度は大きな企業で経験を積むことをお勧めします。6年間同じ会社で働くことで、仕組みを学び、一生の仲間をつくることができます。こうした基盤があることで、その後のキャリアをより安定したものにできます。もし一族を支える立場や身体的な制約がある場合でも、周囲のサポートを活用しながら自分に合ったキャリアを選択することが可能となります。4つの象限のどこに位置するかを考え、自分にとって最適な道を探してください。
これからの時代、皆さんが成功するためには3つの武器が必要です。まず社会の構図を理解する地図を持ち、自分のポジションを明確にすること。次に、1万時間の法則を活用して専門性を高め、複数の分野で価値を発揮すること。そして最後に、生成AIなどを活用し、時代の変化に柔軟に対応するスキルを磨くことです。これらを実践する中で重要なのは、自分の「覇気」を持ち続けることです。新時代は不確実性が高く、変化のスピードも速いですが、だからこそ、今から準備を始めましょう。皆さんのこれからの活躍を楽しみにしています。

(2025年4月公開)
次回は5月下旬に公開予定です
関連記事
電子版:不動産再生学講座レポート第1講① by次世代不動産経営オーナー井戸端セミナー

この記事の続きを閲覧するには
会員登録が必要です

無料会員登録をする

ログインはこちらから

一覧に戻る

購読料金プランについて

アクセスランキング

≫ 一覧はこちら