Focus~この人に聞く~:割安なエリアで勝ち抜く

賃貸経営不動産投資

外国人が優勢の都内不動産市場
地価が割安なエリアで勝ち抜く

円安が長期化する中、外国人による日本の不動産への投資、いわゆるインバウンド投資が大活況だ。物件の価格も上昇し続けており、日本人投資家はどのように物件を購入していけばいいだろうか。海外不動産投資コンサルティング会社として国内外にクライアントを抱えるProperty Access(プロパティアクセス:東京都港区)の風戸裕樹CEOに話を聞いた。

Property Access(東京都港区)
風戸裕樹CEO(43)

――日本の、特に都内の不動産市場は外国人投資家によって活況です。

 当社は韓国、フィリピンそしてシンガポールにオフィスを構え、東南アジア各国の顧客に日本の不動産を販売しています。いまだ多くの東南アジア人にとって日本は憧れの国です。例えば、フィリピン人。首都マニラの不動産も価値が高まっているため、だいたい東京の物件の8割の価格で販売されています。それであれば、もう少し出して憧れの国、その首都の東京に物件を購入したいという意欲につながるのです。

――中国経済はバブルがはじけたといわれていますが、そのほかの国では依然として購入意欲が高いのですね。

 中国以外の国でも、富裕層の所得は上がり続けています。当社が扱うクライアントの物件価格は平均2億円程度ですが、多くはキャッシュで購入しています。つまり現金資産を持っているということ。それであればカントリーリスクが低く、インフラも整っていて安全な日本に物件を買いたいと思うのは当然かもしれません。また日本の不動産購入のハードルは諸外国に比べて低いのです。ガット・ウルグアイラウンドの協定に基づき、日本が外国人に対して土地・不動産の購入に規制をかけられないためです。これも外国人による日本の不動産投資に拍車をかけているといえるでしょう。

――日本人の不動産投資家にとって、国内での投資は難しくなっていくのでしょうか。

 そうともいい切れないと思っています。外国人投資家は、エリアのネームバリューを見て不動産を買います。例えば、麻布であったり南青山であったり。そこに価値を見いだしています。一方で、日本人投資家は土地に関する詳細な情報が得やすいというアドバンテージがあります。地価は低いが価値は高いエリアといったギャップを見つけることができるのです。

――例えばどういった地域になりますか。

 中央区や千代田区といった不動産価値の高い区とそうでない区の境界にあるエリアにそうしたギャップが生じます。具体的にはJR総武線浅草橋駅付近。浅草橋は台東区になるため2割ほど地価が下がります。さらに、秋葉原にも徒歩で出られる立地。それならば浅草橋の物件で民泊をやるという手も考えられる。外国人投資家とは全く違うエリア、違う視点で投資物件を探すことが、同じ日本国内の不動産への投資において、外国人と日本人のすみ分けになると考えています。(長谷川律佳)

風戸裕樹CEOプロフィール
2004年、早稲田大学商学部卒業。不動産仲介、不動産投資ファンドでの勤務を経て、10年不動産仲介透明化フォーラム(FCT)を設立。また、不動産売却エージェントサービス「売却のミカタ」を開始し、全国にFC展開。 14年FCT社はソニー不動産のグループ企業となり、ソニー不動産執行役員として事業拡大に貢献。その後、シンガポールに移住してProperty Accessを創業。

(2025年6月号掲載)

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