元入居者が賃貸住宅の共同経営者に

賃貸経営入居者との関係づくり

入居者との思い出

元入居者が賃貸住宅の共同経営者に 祖父の言葉を胸に二人三脚で家主業

 祖父が始めた賃貸住宅経営を2020年に引き継いだ馬場知弘オーナー(東京都小金井市)には、共に経営を行う髙橋修氏という心強いパートナーがいる。馬場オーナーは「髙橋さんとは家族よりも一緒にいる時間が長い。とても大切な存在です」と2人の結び付きの強さを語る。

馬場知弘オーナー(33)東京都小金井市

[プロフィール]ばば・ともひろ
1992年、東京都小金井市生まれ。大学院卒業後、株式投資スクールを起業。2020年7月から祖父が所有していた物件の賃貸経営に参画し、経営執行代行の髙橋修氏と経営にあたる。一族でアパート4棟46戸と軍用地を所有。


 元々、髙橋氏は馬場オーナーの祖父が所有するアパートに10年間住む入居者だった。入居時はIT企業に勤務しており、祖父と親しくなってからは経理業務の簡略化などを手助けしていた。当初はボランティアだったが、19年6月から業務委託の形で経営代行をするようになった。現在は管理会社との話し合いに同席したり、融資の借り換えの提案をしたりと、馬場オーナーの右腕として活躍している。

▲事務所で所有物件の管理について話し合う馬場オーナーと髙橋氏


 実は馬場オーナーに賃貸住宅経営を勧めたのは髙橋氏だった。18年に脳出血で身体が不自由になった馬場オーナーの祖父は、所有する不動産を馬場オーナーの母親に譲り、髙橋氏に経営を補佐してもらうという計画を立てた。しかし、母親は経営を引き継ぐことを望まなかったため、既存物件は管理会社に丸投げの状態になってしまった。その結果、当時の所有物件では更新の時期でもないのに退去が続き、家賃収入がそれまでの半分以下になる状態に陥った。

 「そのときに髙橋さんから、『このままだと、もし僕に何かあったら経営が立ち行かなくなる。不動産賃貸経営を学んでほしい』と言われたのです。私も危機感を覚え、経営への参画を決意しました」と馬場オーナーは話す。

 その後、馬場オーナーと髙橋氏は前述の物件への設備投資やクレジットカード決済の導入、イベントの実施などを行い、売り上げ向上に成功。今では入居者の退去前に次の申し込みが入る人気物件となった。24年6月には祖父の家があった土地にファミリー向けアパートを新築した。この物件は2人で入念な市場調査を行い、カーシェアリングサービスなどを導入したもので、竣工後2週間で満室となった。

 「髙橋さんは独立時に祖父から後押しを受けたので、その恩を返したいと言ってくれています。祖父は『自分の利益を周囲に還元しなさい』と言い続けた人でした。祖父がつないでくれた縁を大切にして、入居者に愛を注ぐオーナーでありたいと思っています」(馬場オーナー)

(2025年 6月号掲載)

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