収益不動産向け融資年間1万2000件、顧客の属性に変化

賃貸経営融資

<<金融機関に聞く | オリックス銀行>>

収益不動産向け融資 年間1万2000件


 収益不動産を購入する際に大きな課題となるのが、融資。特に居住地とは異なる地域で融資を受けるとなるとハードルが上がる。そんな収益不動産市場で存在感を放つのがオリックス銀行(東京都港区)だ。区分マンションとアパートを合わせて年間1万2000件に融資している。金融機関から見た不動産投資市場の傾向について聞いた。

赤羽根氏(左)と森田氏

不動産価格の上昇で顧客の属性に変化

 資産運用向け金融機関のオリックス銀行は、不動産投資ローンの融資を積極的に行う。主な対象は、区分マンションとアパートだ。

 2024年度の融資額は、区分マンションが年間2600億円、件数は1万件程度。一方、アパートは年間約1000億円、件数は2000件。アパートについては、24年度に初めて年間融資総額が1000億円を超えた。平均単価は5000万円だが、実際は2000万円から2億円まで幅がある。

 近年は融資額も増加。「5年前まではアパートの年間融資額は600億円〜700億円の間を推移していましたが、融資単価が上がっていることから総額が増えています。物件価格の上昇が要因で、特に新築が高騰している影響は大きいです」と総合推進部担当部長兼営業第一部の森田宏明氏は話す。

 物件価格の上昇により顧客層も変化しているという。区分所有マンションは30〜40代が7割、平均年収1100万円。一方、アパートは40代が4割、平均年収1400万円。傾向としては、若年層、特に20代や30代の投資家が増加しているという。年金に対する不安や自己責任意識の高まりが背景にあるようだ。「5年前と比較すると年収700万〜800万円が中心でしたが、現在は1000万円超が多くなっています。物件価格の上昇に伴い顧客属性も変化しています」(森田氏)

 融資する物件の傾向については、価格高騰によりエリアの範囲が広がっているのだという。特に新築はその傾向が強く、東京23区内では土地代の高騰により供給が難しいため、東京郊外や横浜などに広がっている。さらに新築の価格上昇に連動して、中古物件も価格が上昇。オーナーはキャピタルゲインを狙い、5年から10年で売却する傾向が強い。

 そんな中、利回りはどのように変化しているのか。「実需のマンションほどの上昇率ではありませんが、投資用の区分マンションも価格が上昇しています。一方で、賃料は価格の上昇に対して遅効性があるため、そのギャップが利回りの低下として表れています」と不動産ナレッジマネジメント部第一課長の赤羽根慎氏は説明。

 不動産投資ローンに強みを持つ同行の特徴といえば、審査スピードの速さと審査結果がぶれないことだ。不動産売買事業者からも高く評価されている。審査期間はアパートで最短1カ月〜2カ月、区分マンションは最短3週間で申し込みから決済へ進む。さらに「専任の不動産調査員が複数人在籍し、必要に応じて外部の専門機関による調査も活用しながら、現地調査や自然災害リスクの評価を徹底しています。物件ごとの細かい対応が強みです」(赤羽根氏)

 同行では、今後も安定した融資姿勢を維持していく。

(2025年8月号掲載)

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