管理会社の担当者は大切なパートナー。多くの物件の管理を担当しているプロとしての経験を自分の物件に生かしてもらえることも多いだろう。ただ、管理会社では多くの物件の管理を行っているため、家主自身や物件を印象づけることや、管理担当者に快適に働いてもらう工夫が肝心だ。今号では、良好な関係を築いている家主と管理担当者へのインタビューや、管理担当者の本音座談会の様子を紹介する。ぜひ信頼関係構築のヒントにしてほしい。
親の代から積み上げた信頼 2人の役割分担で円滑経営
庄子信利オーナー X 菅原利通氏
――菅原さんは庄子オーナーの物件を何戸管理していますか。
菅原利通氏(以下、菅原):今、庄子さんの物件は、アパート4棟、貸家6戸、駐車場4~5カ所を担当しています。もともと庄子さんの両親が所有していた頃から管理していたので、庄子さんとも互いに顔は知っているという間柄でした。相続してからは7年ほどになります。
庄子信利オーナー(以下、庄子):管理は一応、会社にお願いしているという体になっていますが、やはり菅原さんはパートナー。私は菅原さんと二人三脚でやっていると思っています。
菅原:任せていただいてありがたいです。何だか照れてしまいますね。
庄子:私の親もはじめは自主管理だったのですが、手が回り切らないものを徐々に菅原さんにお願いしていったようです。17年に新築したコンセプト型賃貸物件「スウェーデンハウス」こそ、いったん他の管理会社さんにお願いしましたが、うまくいかず結局菅原さんにお願いしました。
――庄子さんとの仕事のやりやすさは、どのような点で感じますか。
菅原:庄子さんは妥協をしません。私にしてほしいことが明確にあるんです。それをはっきりと自分の言葉で伝えてくれること。これに尽きます。ただ、管理している以上全て任せてほしいと考える管理会社とは合わないかもしれません。そういう意味で、家主と管理会社の相性はとても大切です。私と庄子さんの考えは合っていると思います。
庄子:そうですね。全部を任せるわけではなく、私と菅原さんとで役割分担する今の形がしっくり来ています。特にスウェーデンハウスでは菅原さんにお願いする場面が時々あります。入居者に言いにくいことを菅原さんがマイルドな言葉にして代わりに言ってくれる。トラブルが発生した際に自分で注意すると、言い過ぎてしまうかもしれないし、どうしてもギスギスしてしまいます。そういうときは申し訳ないけれど菅原さんに言ってもらうんです。悪役とはいかないまでも、面倒くさい役割を担ってもらっています。本当にありがたいと思います。
菅原:確かに、庄子さんが言いたいことをストレートに入居者に言うと、なかなかうまくいかないかもしれませんね。でも、私にはそのままの気持ちを言ってくれるので、私の役割はそれをソフトに言い直すことです。あくまで庄子さんが主体の2人の連携プレーで入居者に納得してもらえるような感じでしょうか。ですので、トラブルが起こったときにも庄子さんは私には本音を言ってくれるんだとありがたく思って聞いています。
――日頃の2人のやりとりについて教えてください。
菅原:庄子さんのご両親がご健在のころから、月1回の定例打ち合せを行い、物件の状況を対面でお伝えしています。すべてのオーナーさんと行うわけではないですが、庄子さんのように自分のやりたい賃貸経営があるオーナーの場合は、意向を聞く機会があるのはありがたいものです。私はそれに対してアドバイスや行動を示すスタイルです。オーナーの声を聞いて仕事を細かくカスタマイズして提供できるのは、中小規模の管理会社の強みかもしれません。
庄子:菅原さんは物腰も柔らかく相手を傷つけない言い方ができるので、尊敬しています。仕事の話以外にも、子どもの話を中心に世間話もしますよね。でも、賃貸物件の話がメインです。店に入ればいつも2時間は色々な話をし続けています。次の会も楽しみだな。
菅原:庄子さんと話すのは私の楽しみでもあります。そういえば、23年7月の賃貸住宅フェアにも誘ってもらって東京に一緒に行きましたね。
庄子:菅原さんが賃貸不動産業界や事業者と多く触れ合うのはいい機会だと思ったので、リビングメイトの社員の人も誘って3人で行きました。いいと思ったサービスがあったので、その夜は三人で感想やら、このサービスを入れたらどうなんだろうということなどを語り合いました。
菅原:私も知らなかったサービスを知ることができて、連れて来てくれた庄子さんに改めて感謝しました。
――お互いに2人はどんな存在ですか。
庄子:親が賃貸住宅を残していなかったら、菅原さんとは出会っていません。出会えてよかったと思っています。やはり人間対人間、商売を超えた絆があるんですよね。だから、管理会社というより菅原さんと私。あえて言葉にする機会はなかったですがいつもそう感じています。物件を相続したらすてきな担当者まで相続できたといったところです。
菅原:自分の資産ではなくても、自分の資産だと思って日々対応しています。もしそれが庄子さんに伝わって、信頼してもらえているのなら、本当にありがたいことです。庄子さんと一緒に管理をして培った関係があるから、より一層力が入ります。相続した財産の中で私という担当者が一番いいものだと思ってもらえるように頑張ります。
庄子:そう思っていますよ。これからもよろしくお願いします。
(2024年3月号掲載)
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