創立55周年を迎える公益社団法人 貸宅地や賃貸経営に関する相談に対応
特別相談員 市野健彦氏
公益社団法人 東京共同住宅協会 東京都渋谷区
2024年12月に協会創立55周年を迎える公益社団法人東京共同住宅協会。貸宅地や賃貸経営、土地活用などに関する地主・家主の相談に数多く対応してきました。会員数は7000人弱。公益社団法人という公正な立場で活動する協会の具体的なサポートについて、特別相談員の市野健彦氏に話していただきました。
「こんな不動産を残すなんて」 家族を困らせない対策を提案
――最近どのような相談が多く寄せられるのですか。
当協会には年間1000件ほどの相談がありますが、最近多い相談は、老朽化が進行した建物の対策です。せっかく相続で不動産を残したとしても、築年数が古くて管理が難しい建物の場合、子どもから「こんな不動産を残すなんて」などと思われてしまうかもしれません。当協会では子どもたちに負の財産と思われてしまう不動産を、喜んでもらえる不動産に変えていくように計画的な世代交代のサポートをしています。
――具体的にはどのような方法でサポートするのですか。
例えば、子どもたちが築30年を超えたアパートを相続した際、建物が古く、収益性が低ければ、建て替えを考えるでしょう。ところが、建て替えには立ち退きが必要です。立ち退きは大きなストレスになります。そこで当協会では管理会社の協力を得ながら、5年から10年の期間を使って、普通借家契約から定期借家契約への変更を提案しています。提案の際は、後から不満が出ないように定期借家契約の内容をしっかり説明することが大切ですが、この対応により、コストと精神的負担を減らすことができます。
――定期借家契約がスムーズな世代交代に有効なのですね。
建て替えはすべての入居者が立ち退かないとできません。経験上、例えば全10戸のアパートの場合、2戸は立ち退き料がなくても退去、残りのうちの6戸については、引っ越し代や立ち退き料を30万~100万円の範囲で支払えばスムーズに退去します。
問題は最後の2戸で、居座り、高額な立ち退き料の請求、場合によっては裁判にまで発展することがあります。この2戸のために、ほかの部屋を空室のままにするとキャッシュフローが悪くなるので、立ち退きした部屋についてはしばらく定期借家契約で募集するわけです。
――この方法でこれまでどのくらい対応してきたのですか。
この10年で800戸ほどの定期借家への切り替え実績があります。定期借家契約のデメリットを並べて、理解を示さない不動産会社も中にはありますが、定期借家を理由に家賃が下がることはありません。当協会では90人以上の専門家や管理会社と協力して作り上げた戦略的メニューでサポートします。
公益社団法人 東京共同住宅協会
電話:03-3400-8620
・住所:東京都渋谷区神宮前
6-29-4
・FAX:03-3499-1299
・サイト:https://tojukyo.net
・受付時間:平日 9:00~17:00
・対象エリア:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県
(2024年4月号掲載)
アクセスランキング
- 【PR・特集】相続で 困ったときに頼りになる 専⾨家・サービス①
- Regeneration ~建物再生物語~:既存不適格建築物を店舗併用住宅に再生
- 【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第六弾:①
- Regeneration ~建物再生物語~:築古アパートをシェアハウスに改修
- 【特集】持ち味発揮 共用部を変えた家主の工夫①:エントランス
- 【特集】押さえておきたい不動産の共有リスクと解消法①
- Regeneration ~建物再生物語~:アトリエ付き住宅へリノベして受賞
- 【特集】古くなったら避けられない 大規模修繕の基礎知識①
- 【特集】24年のカギを握る入居者を引き付ける設備9選
- Regeneration~建物再生物語~:魚屋を複合施設へリノベ
- 【特集】基本を知れば怖くない 税務調査への 対応策:①税務調査概要編
- 【特集】時代に乗り遅れるな今こそ省エネ化①:省エネ賃貸住宅の夜明け
- 【特集】不動産購入で伝来の土地を守る
- 地名・土地の名前の由来 その隠された意味とは?
- 地主・土地持ちはずるいvs大変?地主になるにはどうやってなる?
- 武家屋敷(大名屋敷・江戸屋敷)の特徴とは? 跡地に建つ有名施設
- 大家さんとは? 不動産の大家さんになるには