【連載】眠っているお宝 目の付けどころ:vol.2

相続相続財産の評価額

時計

 「時計の鑑定をすることはとても多いですね。特に男性はコレクションしていたり、インフレに強い現物資産として時計に投資していたりする人が少なくありません」と語るのはリ・アンティーク(埼玉県蓮田市)の近藤俊之代表だ。同社には、遺品査定士などの資格を持つ鑑定士が常駐し、生前整理・遺品整理も行う。また士業からの紹介で、富裕層から依頼された宝飾品や高級ブランド時計の鑑定・買い取りを行う機会が多い。

▲鑑定依頼を受けた時計を前にした近藤代表

相続税申告のために鑑定を依頼

 4年ほど前に税理士からの紹介で訪問したのは、埼玉県の豪邸だった。夫が亡くなって妻が資産を相続するにあたり、相続税申告のために時価評価をする必要が生じた。そこで故人の時計コレクションを鑑定してほしいと頼まれたのだ。

 「時計はすべて2010年前後に発売された『ロレックス』で、ほぼ新品の状態でした。故人は元銀行員だったので、資産形成の一環として時計を持っていたのかなと思いました」と近藤代表は話す。査定額は6本の合計で1千万円弱だった。

 時計は生前整理の対象になることが多い。高齢になるにつれて人と会う機会が減るからだ。3年前には医師をする男性から「もう興味がなくなったので、生前整理をしておきたい」と「パテックフィリップ」の定番モデル2本の鑑定を依頼された。合わせて550万円で買い取ったという。

理想は本人による生前整理

 これまで800件以上の生前・遺品整理をしてきた近藤代表は「理想は、本人がどこかのタイミングで整理すること。昨今は空き巣や強盗も増えています。一番好きな物を1本残して、あとは換金して旅行費用などにしたほうがいい。すぐに売らなくても時価評価をしておけば、遺族の負担が軽減されます」と語る。

 高級時計の相場は20年前の約4倍に上がっている。例えばロレックスの「デイトナ」なら、20年前は80万円程度だったが、今は物によっては300万円ほどになっている。もしも時計をコレクションしているなら、かなり高額になる可能性がある。
 時計の査定ポイントはまず未使用品か中古品か、そして状態の確認だ。次にブランド名とモデル。これは箱や本体を見ればわかる。さらに保証書や箱などの付属品がそろっているかどうかだ。そろっているほうが値段は上がる。

 「鑑定を依頼するなら、顧問税理士や富裕層のネットワークでつながっている専門家にお願いできるといいですね。紹介者に対する責任もありますし、よりしっかりと鑑定してもらえるはずです」(近藤代表)

お話を聞いた鑑定のプロ

リ・アンティーク(埼玉県蓮田市)
近藤俊之代表

都内の質屋で修業後、家業の質店、質KONDO(コンドー)に入社。2017年にリ・アンティークを設立。鑑定数は30万点以上。

■店舗情報
司法書士や税理士など各分野の士業と連携し、生前・遺品整理を総合的にサポートしている。

(2025年 4月号掲載)

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