中古物件の利回りの数字を考える際に気をつける点は?

税務確定申告(青色申告)

Q 中古物件の利回りの数字を考える際に気をつける点は?

A 中古物件は大規模修繕費が大きく影響する

 さて、実際に物件購入を検討する際に、実質利回りまで考えておけば賃貸経営は安定するかというと、中古物件の場合はそう簡単にはいかない。大規模修繕の有無が、その後の利回りを大きく下げる可能性があるからだ。

 今、2棟の木造アパートが売りに出されているとしよう。どちらも築35年、家賃5万円・全8戸だ。金利2%で計算し、毎月の返済額や管理費などの固定経費を差し引くと、それぞれの利回りは

 

Aアパート:価格6850万円

表面利回り7%

実質利回り1%

Bアパート:価格4800万円

表面利回り10%

実質利回り3%

 

程度と考えられる。

 利回りのみで考えると、購入すべきはBアパートだ。だが、結論づけるのはまだ早い。中古物件の場合、修繕費のあるなしがその後の利回りを大きく変えるからだ。そう指摘するのはNPO法人賃貸経営110番(東京都千代田区)の森政行理事長。

 仮に、Aアパートが外壁塗装や屋根の修繕といった大規模修繕を行ったばかりであれば、購入後しばらくは修繕をする必要がない。反対に、Bアパートが35年間一度も大規模修繕をされていない場合、購入直後に修繕をしなければならず、その費用が大きな支出となり、結果として手残りがなくなる可能性がある。

 特に中古物件の場合は、建物の老朽化が軽微な修繕ではカバーしきれず、修繕費が大きくのしかかる時期に差し掛かった時点で売却するケースが多々あると森理事長は指摘する。

「築古物件を購入する際には、必ず実質利回りでの検討をしたうえで、さらに、修繕履歴を確認するとよいでしょう」(森理事長)

(2024年3月号掲載)

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