【連載】家主の賢いキャッシュフロー改善:3号掲載

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税金を抑える
~経費の勘違い! 節税商品の実態②~

 キャッシュフローを改善するためには、①収入を上げる②支出を下げる③税金を抑える、この三つしかありません。前回に続き、③の税金を抑える方法を解説します。

高い税率の部分を削る ピンポイントで狙えば節税 

 前回、節税商品が増えている理由について伝えました。今回は、節税商品の仕組みについて解説します。

 節税保険や節税商品は、すべて課税の繰り延べをするものです。支出したときは経費となり、税金が安くなりますが、レンタル料や売却代金で回収したときは、収入として税金がかかることになります。つまり、税金がかかるタイミングを先送りにすることができるという効果です。

 経営の中で利益が大きく出たとき、節税のためにはその利益の全額を削らなければならないと思っている人がいますが、その必要はありません。

 法人の場合、法人税など(法人税、法人事業税、法人住民税)の実効税率は、大まかにいうと、所得(利益)800万円以下で約24%、800万円超で約36%です。利益が800万円を超えると、超えた部分だけが高い税率になります。その超えた部分を経費で削ればいいのです。そして、節税保険や節税商品の効果によって収入とするべき時期は、利益が800万円を大きく下回るときです。

 節税保険や節税商品が節税になるというのは、本来36%で課税されるところを、24%の低い税率で課税を受けられるということです。この時期をピンポイントで狙えるかどうかが、重要です。(図) 

節税商品の回収期間に注意 年間では薄利の場合も 

 節税になるのは、高い税率から低い税率の差額である「36%─24%=12%」の分です。例えば、100万円の節税商品を購入すると、12万円の節税になります。

 これを「100万円投資して12万円得になるなら、利回り12%じゃないか」と思うのは早計です。通常、その12万円を回収するまでにかかる期間は、1年ではありません。節税商品ではだいたい3~5年かけて回収するのが一般的です。

 仮に5年で回収すれば、利回りは5年間で12%、年間にすると2・4%(12%/5年)になります。これならば、投資信託でも得られそうな利回りです。

 投資信託なら、元本が保証されているものもあります。しかし、節税商品は、回収が本当にできるのか不確実な部分があるのです。

 次回は、これらの商品によって回収が本当にできるのか、検証していきます。

解説
Knees bee(ニーズビー)税理士法人(東京都千代田区)
代表 渡邊浩滋税理士・司法書士

危機的状況であった実家の賃貸経営を引き継ぎ、立て直した経験から2011年開業。18年大家さん専門税理士ネットワークを設立し、全国の家主を救うべく活動中。22年法人化。「賃貸住宅フェア」などでの講演も多数。

(2025年3月号掲載)

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