【連載】家主の賢いキャッシュフロー改善:7月号

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税金を抑える
~経費の勘違い! 経費を使うと節税になる?~

 キャッシュフローを改善するためには、①収入を上げる②支出を下げる③税金を抑える、この三つしかありません。前回に続き、③の税金を抑える方法を解説していきます。

経費を使うと節税になるか

 「経費を使えば節税になる」とよく聞きますが、それは本当でしょうか。まずは、右の例を比較してみてください。

 例を見ると、経費を増やすことによって税金は110万円から50万円と、半額以上の60万円が減額されています。

 では、手残りの金額はどうでしょうか。手残りは、390万円から250万円と、140万円も減っています。経費を増やすことで税金を減らせることがわかりましたが、それ以上に手残りが大幅に減ってしまうことが判明しました。

 手残りが減るのは、税金の削減額は、経費の支出額よりも必ず小さくなるためです。100万円の経費を使ったからといって、100万円の税金が減るわけではないのです。所得税は5~45%の間で、段階的に税率が適用されます。住民税は一律10%です。所得税・住民税を合わせると、15~55%の税率で税金を払うことになります。

 もし、自分の税率が30%の場合、経費で100万円を使うと、税金が30万円減ることになります。しかし、差額の70万円は実際にお金が出ていっているのです。つまり、経費を使うことは、節税にはなりますが、「お金を残す」という意味での「本当の節税」にはなりません。

経費による節税は「割引」

 経費を使うことによる節税は、「割引」だと考えられます。つまり、税率分を割り引いた価格で物を購入できたり、サービスの提供を受けられたりするということです。

 例えば、自分の税率が30%の場合、10万円のパソコンを経費で購入すると税金が3万円減るので、トータルで見ると7万円で購入できたと考えられます。

 しかし、割引になるとしても、その経費の使い道が本当に価値のあるものでなければ、意味はありません。「10万円のパソコンが7万円で購入できる。これはお買い得といえるのか」という視点で判断するべきです。

 お買い得かどうかを判断するには、割引率(自分の税率)を知らなければなりません。税率が15%なのか、30%なのかによって判断が変わると思います。本当に必要な経費を見極める冷静な視点を持つことが大切です。節税と称して、必要ないものにお金を使ってしまうと、どんどんお金がなくなるのです。

Knees bee(ニーズビー)税理士法人(東京都千代田区)
代表 渡邊浩滋税理士・司法書士

危機的状況であった実家の賃貸経営を引き継ぎ、立て直した経験から2011年開業。18年大家さん専門税理士ネットワークを設立し、全国の家主を救うべく活動中。22年法人化。「賃貸住宅フェア」などでの講演も多数。

(2024年7月号掲載)

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