LPガスの営業行為を制限
ガス料金に設備費などの上乗せ禁止
経済産業省資源エネルギー庁が4月に公布した「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」の一部が、7月に施行された。
これまで液化石油(LP)ガス業界では、賃貸集合住宅へのLPガス供給契約を獲得すべく、LPガス事業者による「無償貸与」と呼ばれる商慣行が常習化していた。
無償貸与では、LPガス事業者がガス器具や、エアコン、インターホン、Wi-Fi機器などの設備を不動産会社や賃貸不動産オーナーに無料で提供する代わりに、LPガス供給の契約を獲得。提供した設備の費用は、入居者のLPガス使用料金に通知なく上乗せされていた。そのため、LPガスの消費者が不利益を被っているとして、この商慣行にメスが入った。
■賃貸集合住宅におけるLPガスの商慣行
7月に施行された同改正省令ではLPガス事業者による「過大な営業行為」を制限し、不動産関係者などに対する通常の商慣習を超えた利益供与を禁止する。またLPガス事業者の切り替えができないような条件付き契約も不可となる。違反したLPガス事業者には罰則規定を設けている。
一方で同庁は、設備の無償貸与を求めるオーナーや、オーナーへの利益供与を目的に過大な営業行為をあっせんする不動産会社を、事実上違法行為のほう助に等しいものと見なして取り締まりを強化する。利益供与を求めている不動産会社やオーナーには、個別の事実確認など現場レベルでの取り組みを進めていく。LPガス事業者だけでなく、不動産関係者への罰則適用についても、今後検討される流れだ。
それに加えて、同改正省令により2025年4月2日には、三部料金制の徹底も開始する。既存・新規を問わず、すべての契約で、LPガス料金を「基本料金」、使用料を表す「従量料金」、「設備料金」の3項目に分けて提示することが義務化される。
また、賃貸住宅向けのLPガスの新規契約においては、LPガスと関係のない設備費用だけでなく、ガス器具などの消費設備費用も計上禁止となる。
同庁では、同改正省令を契機として、LPガス契約における従来の商慣行を是正し、違反行為の取り締まりや、市場監視強化などの取り組みを進めていく。
■新規・既存を問わずすべての契約に適用
・「基本料金」「従量料金」「設備料金」から成る「三部料金制」を徹底し、設備にかかる費用は外に出して表示する
■新規契約のみ適用
・電気エアコンやWi-Fiなど、LPガス消費と関係のない設備費用をLPガス料金に計上することを禁止する
・賃貸住宅向けのLPガス料金については、上記に加え、ガス器具などの消費設備に関する費用も計上することを禁止する
(LPガス料金の算定の基礎となる項目を「基本料金」「従量料金」「設備料金」としたうえで、「設備料金」については「該当なし」と記載する)
(2024年11月号掲載)
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