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部位ごとの省エネラベル新設 既存物件での性能表示を推進

 国土交通省は8月30日に「建築物省エネ法に基づく 建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度ガイドライン」を改訂。既存住宅における省エネルギー性能の表示に、設備や建具ごとに記載する「省エネ部位ラベル」を新たに追加し、運用を開始した。貸主や販売主といった事業者は、新築に加え、既存物件においてもラベル表示をする対応が求められる。

(出所)国土交通省「建築物省エネ法に基づく 建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度ガイドライン 第2版 改定」 

 改訂前の同ガイドラインにおいては、貸主や販売主は、4月以降に建築確認申請を行ったすべての建築物に、「省エネ性能ラベル」の発行・表示を行うことを努力義務とすると明示している。

 今回の改定では、新築物件だけでなく、既存物件における省エネ性能表示についても推進していく。建築時に省エネ性能を評価していない既存物件では、貸主や販売主が省エネ性能を把握しておらず、省エネ性能ラベルを表示することが困難である場合が多い。これまでは、そのような既存住宅において、断熱性の高い窓に改修したり、高効率の給湯器の設置したりするなどといった、省エネ性能の向上に資する取り組みを行っていても、それを示すものがなかった。今回の改定で、このような省エネ性能の向上に資する部位を有している既存住宅を評価できるようにするため、それを表示する省エネ部位ラベル(図参照)が新たに作られた。

 省エネ部位ラベルで重点を置くのが「窓」と「給湯器」の二つ。そのどちらか、または両方が要件を満たしている場合に省エネ部位ラベルが表示できる。

 そのほか、副次的な項目として「外壁」「玄関ドア」「節湯水栓」「高断熱浴槽」「空調設備」「太陽光発電」「太陽熱利用」の7項目と、再エネルギー設備の有無などを挙げる。表示する事項は、対象部位の有無や仕様、製品の種類となる。

 省エネ部位ラベルの発行においては、システム上で貸主や販売主が必要な情報を入力して作成することができる。専門的な建物の知識がなくてもシステムへの入力が可能だ。ラベルのデータを発行後、データを管理会社・仲介会社に提供。入居者募集の際に、物件のチラシやポータルサイト上で表示されるようにする。個人のオーナーがラベルの発行を行うにはハードルが高いと感じられることが予想されるため、管理会社が発行業務を受託し、代行することも想定している。

 国交省では、既存物件の省エネ性能ラベル、省エネ部位ラベルを広めていくため、補助制度とも連携していく。省エネに関する補助事業としては、環境省が断熱窓への改修、経済産業省が高効率給湯器の設置に補助金を出している。これらの省庁とも調整し、補助を受けた案件で省エネ部位ラベルを発行するように促していく。

(2024年12月号掲載)

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