事故物件を科学的に調査する著者 不可解なエピソードを集め書籍化
─事故物件にまつわる実体験を書籍化したのですね。
私は、2007年から22年まで不動産会社に勤め、22年に独立して「オバケ調査」を行うカチモードを立ち上げました。本書は、会社員時代から現在に至るまでの事故物件にまつわる体験談をまとめています。
─#001の話は「ユーチューブ」などでも語られていますね。
不動産業界に勤めて最初に体験した不思議な話「御札の部屋」ですね。「開かずの間」になっている部屋に、存在しないはずの鍵を見つけ、入ってしまった部屋の中には古いお札が大量に貼ってあるのを見てしまうという。実は、この体験をした頃から独立直前の22年まで、事故物件に関するオーナーの負担がほとんど変わっていませんでした。その実情に気づいたことがオバケ調査を始めるきっかけになったのです。
─事故物件調査を始めた理由を教えてください。
入居者が亡くなると、オーナーをはじめ管理会社や遺族など多くの人が、それぞれに精神的・金銭的な負担に苦しむことになります。管理会社に勤めていた立場から、独立の際、自分の会社に心理的瑕疵かしに対応する機能を持たせようと考えていましたが、結局それがメインの事業になっています。現在までに約60件の物件でオバケ調査を行いました。
─具体的にはなにを調べているのですか。
午後10時から翌日午前6時まで物件に泊まり込み、映像や音声での記録を含む8項目を測定します。終了後は報告書と証明書を発行し、その後の入居者が異常を見つけ、当社でも異常を認めた場合は、懸賞金が支払われます。「何も起こらない」という調査結果に加えて、懸賞金のチャンスがあるならば、元の家賃で納得して入居する方が居ます。
─現状、告知事項がある場合、家賃を下げる対応が一般的です。
心理的瑕疵は回復が難しく、仲介会社も値下げを提案してくることが多いでしょう。しかし、月数万円の値下げでも、売却価格には数百万円から数千万円の差が出ます。オバケ調査は、事故物件に付加価値や希少性を見出すことで資産価値を向上させる方法です。今後も、一つの選択肢としてオバケ調査を広めていきたいです。
告知事項あり。その事故物件で起きること
著者:児玉和俊
出版社:主婦の友社
価格:1650円(税込み)

概要
2007年から不動産管理会社の営業担当者として約7000室の物件を内見し、現在は「オバケ調査」を行うカチモードで代表を務める著者による実録集。事故物件に異変が起こらないことを科学的手法で証明しようとするオバケ調査における体験談のほか、賃貸不動産会社に勤めていた頃のエピソードを含む。
著者プロフィール
児玉和俊(こだま・かずとし)

1979年生まれ。カチモード社長。15年間賃貸不動産業界で勤務し、2022年12月に、物件内での死亡事故に関する業務をサポートする会社としてカチモードを設立。テレビや「ユーチューブ」など、メディア出演も多い。25年1月より自身でもユーチューブにて「オバケ調査のカチモードちゃんねる」を運営中。
(2025年 4月号掲載)
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