【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第五弾②

土地活用その他建物

体験農園 / 体験農園マイファーム

食育、余暇の楽しみなど幅広い世代でニーズが拡大
使われていない農地を活用し体験農園にリメイク

マイファーム (京都市下京区)

全国に105農園を展開

 日本には、過去1年以上作物を栽培せず、この数年の間に再び作付けをする予定のない「耕作放棄地」が増大している。その耕作放棄地を活用した事業が「体験農園マイファーム」だ。

 マイファーム(京都市下京区)は、使わなくなった農地を地主から借り受け、体験農園ができるようにリメイクし、利用者に貸し出している。似たようなサービスに行政が運営する市民農園があるが、利用は抽選で、使える期間も2〜3年と限定される場合が多い。一方、同社が運営する体験農園マイファームは、1年間ごとの契約だが、更新の意志があればいつまでも利用できる。

 また、農具の貸し出しやアドバイザースタッフが定期的に巡回するなど、サポートも手厚い。育てる野菜も利用者が自由に決められる。利用料は立地や広さによって変わるが、1区画15平米が一つの基準となっており、月額6600円程度で貸し出している。

 近年、子どもへの食育や退職後の余暇の楽しみなど、体験農園のニーズは幅広い世代で高まっており、同農園は現在、全国に105農園まで拡大している。 開園の初期費用は、農具の買い揃え、農具の保管場所や休憩スペースの設置、水道設備工事、整地費用、集客のシステム導入費などで200万円が目安となる。

 開園パターンにはマイファームが運営する場合とオーナーが運営する場合の2種類がある。マイファームが運営する場合は農園運営に関わるオーナーの仕事は特になく、毎月の利用料の一部がオーナーに支払われる仕組みだ。

 開園までの流れは、スタッフが農地の面積や立地をヒアリング。実際に現地に赴き測量し、農園イメージをオーナーへ提案する。周辺環境なども考慮した、集客などのシミュレーションを行う。収益面等も踏まえて、オーナーとマイファームで合意した場合は契約する。作物が作られる適切なタイミングにもよるが、2〜3カ月で開園可能だ。現在、オーナーは個人がほとんどだが、1割程度法人もいるという。新規事業のため土地を借り上げたものの、土地を余らせて管理費だけが掛かっていた状況を打破するため、開園したケースもある。

 同社は誰でも身近に野菜づくりができる社会を目指し、今後も体験農園事業を通じて、自然と融合する暮らしを提供していくという。

▲土づくりから収穫まで一連の農作業を体験できる

(2024年10月号掲載)
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