自社企画アパートに太陽光発電システム搭載
三和エステート
人口減少時代において、賃貸住宅には一層の差別化が求められる。賃貸住宅の建築・管理を手がける三和エステートは、太陽光発電システムにより電力を自家消費できる仕組みを構築。入居者やオーナーの経済的メリットと環境負荷軽減を実現する付加価値の高い商品を供給していく。
三和エステート(福岡市)
鴨木健司執行役員事業部長(47)
光熱費削減、防災対策で差別化
賃貸住宅の建築や管理を手がける三和エステート(福岡市)は、オリジナル企画アパート「CBシリーズ」に太陽光発電システムの導入を開始した。光熱費の削減や災害時の電力供給ができるメリットから物件の差別化を打ち出し、投資家に訴求していく。
第1号案件となる福岡県久留米市の物件が10月末に竣工した。全10戸で間取りは1K、専有面積24㎡の単身向けアパートだ。各世帯にパワーコンディショナー(電力変換装置)を設置し、太陽光パネルで発電した電気をリアルタイムで自家消費することができる。
各世帯で消費できる電力は、日照時間の長い夏場は220〜230kWh、冬場は150kWh程度で、消費されなかった電力はオーナーが売電できる。停電時にも電気を供給できる専用コンセントも各世帯に一口用意する。全国的に電気代が高騰する中で、光熱費の削減メリットのほか、防災対策の実施や環境負荷軽減などで賃貸住宅の差別化を図る。
CBシリーズの累計供給数は610棟9435戸で、年間20棟程度を竣工している。今期となる2025年10月期は年間30棟、2年後には40棟の竣工を計画する。資産コンサルティング事業部の鴨木健司執行役員事業部長は「中期的には(年間竣工棟数のうち)3割程度に太陽光発電システムの導入を目指す」と話す。
遮熱効果も期待 環境負荷軽減を実現
太陽光発電システムは同社が管理する戸建て賃貸住宅にも試験的に導入しており、入居者からは「電気代を20〜30%削減できた」との声があったという。新規入居者の募集時には賃料を従来から30%上げて成約している。収益性の向上に加え、屋上への太陽光パネル設置による遮熱効果も期待できるため、環境負荷の軽減を実現する賃貸住宅として投資家に訴求していく。
「人口減少により賃貸住宅の差別化はますます問われる。オーナーや入居者への経済的メリットだけでなく、災害発生時にも電力を供給できる安心も提供し、空室期間の短縮が図れる商品として周知していきたい」(鴨木執行役員)
(2025年 2月号掲載)
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