土地購入前に障がい者向けグループホーム運営事業者決定

土地活用高齢者住宅・介護福祉施設

<<トチカツ最前線>>

近年、需要に対して不足している障がい者向け施設を建築し土地活用するケースが増えている。今回はこの土地活用を提案する会社を紹介する。 

エイワハウジング

関西中心に障がい者向けグループホーム展開
土地購入前に借りる運営事業者を決定

 分譲住宅事業を主として展開するエイワハウジング(大阪市)は、2021年から介護福祉施設の建築事業をスタートした。

 25年6月15日時点で、7棟の障がい者向けグループホームと1棟の高齢者向け施設を引き渡し済みで、現在、住宅型有料老人ホームの建設も進行中。25年は11月末までに10棟のグループホームを引き渡す予定で、土地の仕入れも完了している。

▲エイワハウジングが建てた障がい者向けグループホーム

 同社の特徴は、土地を仕入れて物件を建て、運営事業者に賃貸し、投資家に売却するという流れで事業を進めていることだ。土地の購入前に運営事業者がすでに決まっており、購入後に同社が建物賃貸借予約契約を結び、グループホームを建築する。運営事業者との契約期間は25年と長期であり、安定した賃貸収入が期待できる。運営事業者はオーナーから一括借り上げを行う。

 基本的には投資家に向けたスキームで利回りは建築費に対して10%ほどだという。地主にとっても取り組みやすい。

 「安定収入を確保したいオーナーが、手離れの良さを重視して購入するケースが目立ちます」と、同社土地活用事業部の川島巧課長は話す。

 同社ではハウスメーカーよりもリーズナブルな価格での提供を目指す。土地と建物をセットで提供することで、中間マージンを排除し、コストを抑えるビジネスモデルを採用。安価で提供可能なため、運営事業者との連携が広がっており、建築と運営をセットで提案できることも同社の強みとなっている。

▲エイワハウジングが建てた障がい者向けグループホーム

 同社では、障がい者向けグループホームを大阪府内および兵庫県尼崎市で展開している。土地の広さは50~60坪程度が目安だという。

 「障がい者の数は増加傾向にあり、特に重度の障がい者向けのグループホームが不足しています。特に新築は少ないです。一方、軽度の障がい者向けでワンルームマンションタイプのグループホームは飽和状態であり、報酬も少ないため、ビジネスモデルとして成り立ちにくくなっています」(川島課長)

 グループホーム建設に対する行政からの補助金はないものの、入居者には家賃補助がある。運営事業者が物件を借り上げるため、オーナー側のリスクは低い。家賃相場に影響されず、運営事業者の収益源から家賃が支払われる仕組みであるため、立地条件にかかわらず事業が成立しやすい。

 同社は運営事業者の選定において財務状況を考慮し、信頼できる事業者と連携することで、オーナーのリスクを軽減する。

 また地域や入居者のニーズに合わせたカスタマイズ設計を行う。設計においては、現場の声を聞き、運営事業者の要望を反映することで、より使いやすい建物を提供する。

 今後は、年間10~16棟のグループホーム建設を継続し、住宅事業も拡大させていく計画だ。

(2025年8月号掲載)

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