車1〜2台分のスペースが資産価値を高める

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使い道に困る土地が稼げるランドリーに 車1〜2台分のスペースが資産価値を高める

 フトン巻きのジロー(栃木県宇都宮市)は直営とフランチャイズチェーン(FC)でコインランドリーを運営。現在は全国に160店舗がある。同社のコインランドリーの特徴は、敷き布団を特別な巻き方で固定し、大型洗濯機で丸洗いできることだ。2024年9月、同社は新規形態としてコンテナ式ミニランドリー「フトン巻きのコジロー(以下、コジロー)」の運営を開始した。駐車場1台分のスペースで始められる小型・無人経営の業態。活用していない小さな土地でも収益を生み出せる点が支持され、すでに全国10店舗(沖縄県9店舗、千葉県1店舗)を構える。

フトン巻きのジロー(栃木県宇都宮市)
森下洋次郎社長

 

地主・家主の土地活用に 住宅地や過疎地に可能性

 「コジローは、地主や家主に特におすすめです」と同社の森下洋次郎社長は話す。

 その理由の一つは、コジローの設置に適した土地の特徴にある。

 地主・家主の場合、住宅地に土地を所有している人が多いだろう。布団は洗うために運ぶのが大変なので、布団を洗うコインランドリーの場合は商業地域よりも住宅地のほうが多く集客できる好立地となる。

 また賃貸住宅やテナント、駐車場としてはうまく活用できていない土地でも、コジローなら収益を上げる可能性を秘めている。

 「実際に、沖縄でも市街地から離れたいわゆる『ど田舎』での設置例があります。むしろ競合がいないので一定程度の収益が確保できています。過疎地で使い道に悩むような遊休地であっても、コジローの設置により使える土地に変えられる可能性があるのです」(森下社長)

 先祖から受け継いだが活用方法を考えあぐねている土地への設置も検討に値するだろう。

低い損益分岐点、高い収益性 1日4人利用で利回り10%

 コジローはほかの土地活用と比べて参入へのハードルが低い。使う土地の面積が小さいうえ、初期投資額が比較的少額で済む。そのため、事業として損益分岐点が低く、収益性が高い。

 コジローの設置面積は駐車場1台分ほど。客の駐車場を設けるとしても駐車場2台分のスペースがあれば設置可能だ。すでに物件を所有しているオーナーであれば自分の敷地を利用することで償却が可能となり、節税効果も得られる。

▲トレーラーハウスタイプのコジロー


 また最新モデルはトレーラーハウスタイプとなっており、移動して複数の場所で展開するような使い方も可能。こちらは車両扱いとなる。

 損益分岐点も低くコジローの場合、1日あたり2人が利用すれば赤字を回避できる。

 「1日あたり2人が利用すれば利回りは4%、4人で10%となります。電気代などの固定費も月に2万円ほどで、損をしにくいビジネスモデルになっています」と森下社長は語る。

 初期投資額は1200万円程度。2年目からはロイヤルティーや電気代だけになるので利幅もアップするという。なおコジローは中古で売却することもできるため、万一の事業撤退の際にもある程度のキャッシュバックが見込める。

 「所有地があれば、それを担保にコジローの導入費用への融資も得ることができます。実際に、手持ち資金を残したいオーナーで借り入れをしている人もいます」(森下社長)

▲無駄のない配置、省スペースでもランドリーは2台置ける

 

家賃2000円アップの事例も 売却を考える場合にも有利

 特筆すべき点は、コジローの設置により物件の家賃アップや資産価値の向上が見込めることだ。

 沖縄で賃貸マンションの一角にコジローを設置した例では、家賃を2000円上げることができたという。「沖縄の家賃相場はワンルームで5万円ほどです。それが2000円上げられる。50戸の物件であれば、年間の家賃収入は120万円増えることになります」と森下社長は話す。

 家賃アップによるインカムゲインの向上はもちろんだが、将来的に売却を考える場合にも売却価格が上がることが期待できる。「わずかな追加投資でコジローを導入することで収益不動産としての評価額が向上し、大きなキャピタルゲインが得られる点は、地主・家主の皆さんから非常に高く評価されています。実際に営業現場でも一番反響が大きいポイントです」と森下社長は自信を見せる。

 「収益性がとても高いので、直営の店舗を増やしていきたいです。貸地を日々探しています」(森下社長)

■1日あたりの客数別で見た利回り

 

■コジロー、ジロー、一般的なコインランドリーの比較

(2025年 8月号掲載)

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