緑豊かな中庭を持つ欧風アパートメント 厳しい建築条件を物件の魅力に転換

土地活用賃貸住宅#注目の新築プロジェクト#賃貸住宅

Miracortile(ミラコルティーレ)仙川(東京都調布市)

伊藤禎オーナー(60) (東京都調布市)

 

 

アトリエボーヌ・丸山保博建築研究所(東京都杉並区) 丸山保博代表(72)

 

 

 

土壁で囲われた門を抜けると、各戸へのアプローチを兼ねた緑豊かな中庭が広がっている。ここは、京王電鉄京王線仙川駅から3分ほどの場所に立つ賃貸アパートだ。物件を訪れたのは、過ごしやすい気候になった2023年10月下旬。太陽光を浴びながら、中庭に設置された椅子で談笑するにはいい季節だった。

 「中庭を取り入れた建築コンセプトに共感しました」と話すのは、このアパートを所有する伊藤禎オーナー(東京都調布市)。中庭付き欧風アパートメントの建築で実績のあるアトリエボーヌ・丸山保博建築研究所(東京都杉並区)に設計を依頼し、同年3月、2階建て・全12戸の賃貸住宅「Miracortile(ミラコルティーレ)仙川」を建てた。

 仙川駅は、調布市に隣接する世田谷区に最も近い駅で、都心へのアクセスも良い。駅前にはスーパーや飲食店が入った商業施設があり、南北に商店街が広がる。周辺には桐朋学園大学や白百合女子大学もあり、若い世代にとっても暮らしやすい場所だ。

 Miracortile仙川は、学生を含む単身者やカップルの入居を想定し、間取りを広めのワンルームとメゾネットタイプにした。ワンルームは6戸が28㎡、4戸が32㎡。可動式の収納を据え付けており、空間を仕切ることで1LDKのようにもできる。残り2戸のメゾネットタイプは40㎡だ。賃料は9万9000~12万9000円(別途共益費として9000円)。単身者・カップル向けの物件としては周辺の物件よりも広い設計で、賃料は相場より1万円ほど高く設定している。

 物件のある土地は、伊藤オーナーが父から相続した。承継時には築50年のアパートが立っていたが、建て替えるにあたり、建ぺい率40%、容積率80%という条件が付いてきた。「敷地に対してほとんど建てられない。それであれば中庭を作れないかと考えていた中で、丸山保博さんに出会いました」(伊藤オーナー)。物件名の「Miracortile」は、イタリア語で「中庭を眺めること」を意味する。アパートの隣には、同じく丸山氏の設計による伊藤オーナーの自宅も立つ。

 海外からの留学生も住んでおり、中庭の水まきを手伝ってくれたこともある。中庭は、そこに住む人が顔を合わせ、会話をする場になっている。「単なる『緑』というもの以上に、人と街と自然をつなげる役割を持つ」という設計コンセプトがしっかり機能している。

 

Aタイプの部屋の間取り図

1階

2階

【物件概要】

物件名:Miracortile仙川

所在地:東京都調布市

構造:木造準耐火構造2階建て

戸数:12戸

竣工:2023年3月

間取り・広さ:ワンルーム・メゾネットタイプ、28~40㎡

家賃:9万9000〜12万9000円(別途共益費9000円)

 

緑豊かなアプローチを兼ねた中庭と、コの字形に配された建物

大きな窓が二つある住戸。入居者が自由にレイアウトできる可動式の間仕切り収納付き

 

中央にあるのは談笑用の椅子。交流を促す仕掛けの一つだ

中庭側から部屋に直接入る玄関。アパート内には廊下がない設計だ

 

土壁に囲まれた門をくぐって敷地に入る

伊藤オーナーの長女がデザインした館銘板。庭に植わっているミカンとオリーブの木をモチーフにした

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