地域貢献活動 地主編

仕事やボランティア、寄付などのさまざまな形で、地域貢献活動をしている方々がいます。

地主の中にも、代々広大な土地を引き継ぎ、所有している土地の土地活用としての賃貸経営だけでなく、事業を興したり、施設を建てるなどして、まちづくりや地域貢献活動している方々もいます。

家主と地主では2003年の創刊以来全国の様々な家主や地主を紹介してきました。その中から地主山田家の地域貢献活動例をご紹介します。

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地主の地域貢献活動例

 

地主の山田さん親子

住みやすい街ランキング上位目指して地域貢献

横浜市旭区で19代続く地主の山田家。山田家では、代々、地域発展に必要な土地活用や事業に取り組み、地域に貢献してきた。そんな祖父の背中を見て育ち、いつか祖父のように地域貢献ができる仕事をしたいと考えて、今事業を継承しているのが山田勇貴オーナー(横浜市)だ。

34歳という若者の視点で、今地域に何が必要なのかどうすれば貢献できるのかを考え、所有不動産の活用を考える山田オーナー。目指すのは地元が「住みやすい街ランキング」の上位にランクインすること。

神奈川県の横浜市と海老名市を結ぶ相模鉄道本線の「希望ヶ丘」駅。駅の周辺は緑豊かな環境のファミリー世帯が多いベッドタウンだ。

その希望ヶ丘周辺に代々土地を所有してきたのが、19代続く山田家。相続が発生するたびに、多額の相続税を納付。4代前の高祖父のときは20億円、曾祖父のとくは17億円納税したというのだから、相当の土地を所有していたことになる。

コインランドリー、保育園、学童保育施設を建築

現在、山田家として所有してるのは、アパート16戸、賃貸マンション60戸、区分マンション16戸のほかに、高齢者向け市営住宅、カソリンスタンド、学童保育施設、保育園、コインランドリー、月極駐車場だ。

近年、山田オーナーが注力しているのは「もっと長くこの地域に住みたい」と思ってもらえるような場所を提供し地域に貢献すること。

例えば3年前に築古アパートを建て替えるときに、アパートではなく、一階がコインランドリー、2階は学童保育施設の建物を建てた。「アパートが建っていた場所だからといって、アパートに建替えるのではなく、もっと地域の人に喜んでもらえるものがあるのではないかと思いました。」(山田オーナー)

学童クラブ

計画を練っていたときに、役所から学童保育施設の入居の相談を受けた。立地的にも近隣の小学校から400mほどの場所にあり、申し分ない。だがネックとなったのが融資だった。学童保育施設の運営者は地元の有志のため不安視されたのだ。

そこで今回の施設は移転という形での入居希望だったことから、運営者に運営実績の資料を出してもらい、金融機関に提示。また、一階をコインランドリーにすることで、その収益性も考慮してもらえたことで融資を受けられた。

コインランドリー

コインランドリーは地域のニーズが拡大していることやスタッフを雇う必要はないことから自分でも運営できると考えた。妻に相談すると「子育て世代にとって便利だから良いと思う」と言われたことも背中を押した。

コインランドリーは、室内の天井にはハワイの空をイメージしたクロスを張り、明るい雰囲気にした。子連れの来客用にキッズスペースを設置。スニーカーなど靴用の乾燥機を置き、地域の事情に合わせた地域に貢献できる施設づくりを心がけた。

開設後、口コミなどで徐々に認知度が上がり、オープン3カ月度以降、毎月黒字を実現するほどの安定経営だ。

「駐車場が3台分しかないため、前の道路で車が何台か待機していたことがありました。そのとき、近所に住む人から苦情が入ったのですが、すぐにおわびに行ったところ、『24時間営業しているから道路が明るくて、夜も安心して歩けるようになった』という声を頂きました。」と笑顔で話す。

地域に共働きの家族が多いため、コインランドリー、学童保育施設、保育園は喜ばれる。「地元の人が求めるものをつくってよかったといわれるとうれしいし、やりがいがあります」と地域貢献した仕事の喜びを語る山田オーナー。ファミリー、カップルが住みやすい街づくりを模索している。

地元住民に慕われていた祖父 地域貢献を考えて大企業誘致

山田オーナーは、2021年12月に市役所を退職し、22年から不動産賃貸業専業になった。市役所では、都市計画などの業務を担当していた。

高校時代の親友からロバート・キヨサキの著書を薦められて読んだところ、資産運用としての不動産賃貸業の関心を持った。それにより、以前から早く家業を継ぎたいと考えていたが、さらにその思いが強くなったという。地主に対する想いの根源にあるのは8年前に亡くなった祖父・宏さんの存在だ。

両親が共働きだったこともあり、一人っ子の山田オーナーは、小学生の頃は祖父母の家で過ごすことが多かった。

時々、祖父がアパートの入居者へ家賃の滞納催促に行く際について行ったこともあったという。そういう経験を通じて、子どもながらに「いつか家業を継ぐんだなと思った」という。

祖父は神社の総代、寺の役員、JA支部長を歴任。自治会長については10年務めた。常に地域のことを考えて活動していた祖父。50年前にNTTの営業所を当時所有していた土地に誘致したのは、雇用を生み、住民も増え地域に貢献できると考えたからだという。

「地域に貢献しようと活動してきた祖父は、地域の人から慕われてる人でした。自分も祖父のようになれるように活動していきたい」と語る山田オーナー。

地元を盛り上げるために、山田家の同世代の親族と共に、駅前の再開発に関して役所との協議を始めた。一族をはじめ、ほかの地主も巻き込みながら、住みやすい街ランキングで上位に上がるような地域を目指して展開していく考えだ。

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