著者インタビュー今月の一冊:地主の決断

賃貸経営不動産投資

変化する世の中で時には攻める決断も必要

概要

地主専門の資産防衛コンサルタント、いわば「地主の参謀」として多くの地主から相談を受けている著者が、先行きが不透明なこれからの時代において、地主が資産を守り、次の代が困らない形で受け継いでいくために大切なことを解説。身に着けるべき「人を見極める力」「時代の流れを読む力」「決断する力」の詳細と、それらを身に着ける方法が具体的に分かる一冊となっている。

─自身も地主の家で生まれ育ったのですね。  

父方、母方ともに地主の家系でしたが、相続の際に大変な思いをした経緯があり、先祖が築いてくれた資産を賢く残していくために、地主の味方となる存在が必要ではないかと感じていました。 ─何がきっかけでコンサルタントとして独立したのですか。  大学卒業後、建築会社やマンション販売を経て、大手ハウスメーカーの営業職で実践を積みました。顧客から土地活用について相談されることもありましたが、業務内容が専門ごとに担当分けされており対応できない歯がゆさがありました。そこで土地、資産、家族など顧客を取り巻く環境を包括的に捉えたうえで提案できるコンサルタントとして独立を決意しました。

─相談に訪れる地主はどんな悩みを抱えていますか。

 家賃が定期的に入ってくる地主の中には、資産をいかに守るかについては考えていても、現在の資産の実態や、将来相続で資産がどう変わるのかを把握できていないケースが多いです。とりわけ納税額や返済額に関するストレスのある人や、事業者から土地活用や賃貸物件建築の提案などを受け、不安を抱えた人から連絡をいただくことが多くあります。

─代々受け継ぐ土地を守るため変化を好まない地主もいます。

 時には守るだけでなく、攻めることも必要でしょう。単に土地を売って税金を納めて終わりではなく、例えばその資金を使って新たな土地を購入し賃貸物件を建てるなど、テクニックはさまざまです。ただ、そのためには購入予定の土地や地域の将来性など、少し遠くを見据えて可能性を検討する必要があります。

─積極的な資産の組み替えが必要なのでしょうか。

経営が安定している人は、今ある資産を大事にするべきです。世の中の変化に合わせて、無理に新しい事業に手を出す必要はありません。大事なのは、現在地を把握し、良い状態で次世代に引き継ぐことです。

─先行きの見えにくい時代において地主に必要なことは何ですか。

 自分が大事にしていることが次世代に正確に伝わるとは限りません。子どもは親を見て育ちます。だからこそ、地主は資産に対する考え方、行動を次世代に見せることが大事です。また、さまざまな立場に立って多角的、長期的に物事を見ることが必要でしょう。

著者プロフィール
松本隆宏(まつもと・たかひろ)

1976年、神奈川県相模原市生まれ。ライフマネジメント(東京都千代田区)代表取締役。法政大学卒業後、住宅業界勤務を経て2007年に起業。「地主の参謀」として資産防衛コンサルティングに従事。42歳のときに日本コンサルティング推進機構が発刊する「日本の専門コンサルタント50」で紹介された。著書に「地主の参謀―金融機関では教えてくれない資産の守り方―」(エベレスト出版)などがある。

 

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