Part5 給排水管 赤水は劣化のサイン
外から見えない給排水管は、人間でいう血管と消化器官に例えられる。さびによる赤水が出ると劣化のサインだ。定期的な点検と高圧洗浄などの掃除が大切になる。
赤水が出たら要注意 定期的な点検が重要
これまで見てきた外壁や屋上、廊下・階段と違って、給排水管は外からは劣化が見えにくい。このため、建物を人間に見立て、給水管は血管、排水管は消化器官に例えられることがある。定期的なチェックが重要だ。
水道管からさびによる赤水が出るようなら、配管の腐食を疑っていい。排水管が詰まるのも劣化の印だ。これらの症状が見られるのに対策を怠っていると、漏水が起こるだけでなく、漏水が原因で最上階から地上階まで水が染み込むといった建物全体の劣化につながってしまう。
では、配管の状態を調べるにはどういった方法があるのか。
一つは「抜管調査」。既存の配管で外に露出している部分の一部を抜き取り、縦割りにして中の腐食具合を直接調べる。配管の内部にカメラを挿入して撮影する「内視鏡調査」もある。また、「エックス線調査」は、外部からエックス線を当てて配管の影を撮影することで、内部の腐食や厚みを調べる。
調査の頻度は少なくとも10年に1度、できれば5年単位で行うことが望まれる。
主な修繕方法は更新工事や更正工事
配管を修繕する方法の一つには、既存の配管を新しいものと交換する更新工事がある。使われる材質による特徴は次のとおり。
▼硬質塩ビ管 埋設部によく使われる。紫外線劣化対策が必須。長持ち度:約20年
▼耐火塩ビ管 排水管専用。防火区画の中にも設置することができる。紫外線劣化対策が必須。長持ち度:約20年
▼ポリエチレン管 施工がしやすく長持ち。紫外線劣化対策が必須。長持ち度:30年以上
▼塩化ビニルライニング管 腐食することはあるが硬く真っすぐに配置できる。長持ち度:約20年
このほか、既存の配管を補強する更生工事や、水質と赤さびの関係を利用した補強装置による延命工事などもある。部分ごとに異なる工法を採用することも可能だ。実際に配水管の修繕が行われるのは、築40年ほどたっている物件が多いが、場合によっては築10~20年でも給排水の漏れが見られることもあるという。そうならないためにも、定期的に状態を把握し、高圧洗浄などの掃除も行うといい。
▲腐食した排水管(写真提供/マンション計画修繕施工協会)
(2024年8月号掲載)
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