【特集】入居者の満足度を上げる 家主のアイデア集:④アンケート

賃貸経営入居者との関係づくり

アンケート

不満を把握し、いち早く対処する

 「長期入居の実現のために、やれることは何でもやります」と語るのは千葉県と茨城県に31戸を所有する阿部新二オーナー(東京都江戸川区)。自主管理物件で入居者に独自のアンケートを実施するのもその一環だ。

阿部新二オーナー(71)(東京都江戸川区)

 17年から不定期で複数回実施。自作したアンケート用紙を返信用封筒と一緒に入居者に届けている。回答してくれた人には1000円分の「QUO(クオ)カード」をプレゼントしている。返信がなかった人からも、物件で偶然会ったときに、回答を直接もらうこともあった。

▲阿部オーナー自作のアンケート

 アンケートで問うのは、入居した理由、エアコンや給湯器の不具合、建物内外からの騒音、退去予定などについて。ほかにも不便に感じていることや要望を自由に記入できるようにしている。「アンケートを通じて入居者の状況や気持ちを把握し、不満があればいち早く対処することが目的です。一生懸命にやっている家主だということが入居者に伝わればうれしいです」と語る阿部オーナー。

 一時期は6世帯が3回入れ替わったこともあった狭小ワンルーム物件は、アンケートを始めて以来、空室になることがなくなったという。

アンケート

意見収集して外壁塗装工事に生かす

 茨城県に10棟39戸を所有し、宅地建物取引士の資格を持つ中村智子オーナー(茨城県阿見町)。同じ敷地内に立つ4棟アパートの一室に自身も居住し、自主管理している。同物件の入居者の意見収集に自作のアンケートを活用しているという。

中村智子オーナー(茨城県阿見町)

 12年に入居者同士の親睦を兼ねたバーベキューの開催の是非を問い、その後は外壁塗装工事やインターネット無料のガス会社への切り替えについて意見を集めた。外壁塗装工事のときは、色と塗装パターンについて中村オーナーが四つの案を提示。入居者に投票してもらい、最多得票だった案を採用した。アンケート以外にも、鍵や網戸の交換の際には、申込用紙を同封した自作の通知書で、その都度知らせている。

▲外壁塗装工事の際のアンケート

 パソコンソフトの利用スキルの国際資格「マイクロソフト オフィス スペシャリスト」も所得している中村オーナー。書面には写真や自分でデザインしたイラストなどをちりばめて、わかりやすくなるように心がけている。

 「私も住んでいるので、入居者の要望や意見は耳に入りやすい状況ではありますが、アンケートや通知書によって入居者との距離がさらに縮まりました。アンケートの回答率は90%を超えています」(中村オーナー)

(2024年11月号掲載)
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