【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第七弾⑤

土地活用店舗

マシンピラティススタジオ マシンピラティススタジオLuluto(ルルト)

6年91店舗出店の整体院がピラティスチェーンを開始
肩こり・腰痛を治す機能改善に特化

3回以内での改善を公言 通わせない整体院を展開

--御社は筋膜リリースを用いた整体院「理学ボディ」を91店舗展開されています。なぜここまで拡大できたのでしょうか。

木城:理学ボディは、痛みの改善に特化した整体院です。1回の施術が90分で1万7000円という高価格帯で、3回以内に治すことを目指し「通わせない整体」と打ち出しています。

 通常、ほとんどの整体院や整骨院は長く通ってもらうために、回数券制度を設けています。3回以内の改善を公言している治療院は他になく、大きな差別化に繋がりました。たとえば、競合が出店している地域に出しても顧客の取り合いにならず、人口が多い地域に出せばお客様が一定数来てくれます。

 また、競合はどこも採用に苦労していますが、当社は優秀な理学療法士が採用しやすかったことも大きな要因だと思います。技術を持つ職人肌な理学療法士は、早く治すことを重視しています。そのため、3回で改善を目指すという公言が響き、採用しやすかったのです。

理学ボディ(東京都渋谷区)
木城 拓也社長

――高価格帯の整体をチェーン展開しようと考えた理由は。

木城:もともと私自身、有名な整形外科クリニックで理学療法士として働いていました。そこはスポーツ選手が通うようなクリニックで、やりがいは大きく、休みの日はセミナーに通うなど自己研鑽を積んできました。

 しかし、どれだけ努力して技術を上げても給料は上がらず、年収は300万円程度。それに対し、介護施設で働く理学療法士の年収は400~500万円ほど。介護施設では、技術よりもコミュニケーション能力が重視され、あまり技術の研鑽が必要とされていません。

 私自身、努力して理学療法士としての腕に誇りを持っていましたが、世間からは評価されず、頑張っても報われないという気持ちが強くなりました。そんな業界の体制を変えたいと思い、理学ボディを立ち上げたのです。

 自費整体で単価を自分で決めてしっかりと利益を出せば、理学療法士に還元することができ、病院などで働くより高い給料を出すことができます。そういったことをSNSで発信し、そこに共感してくれた優秀な理学療法士を集めることができました。

▲理学ボディは6年間で91店舗まで拡大

――順調に理学ボディを伸ばされる中、マシンピラティススタジオ「Luluto(以下:ルルト)」を2022年にオープンされました。

木城:理学ボディを多店舗展開する中で、1万7000円という価格帯では100店舗で打ち止めになることが見えてきました。そのため、100店舗を出店し切る前に新規事業の立ち上げをする必要性があったのです。そして今の顧客基盤を活かせ、整体で痛みを取った後にも通えるビジネスを模索しました。

 また理学ボディでは、3回での改善を目指すがゆえ、新規集客が肝になります。収益の柱が新規顧客依存型の整体だけでは厳しいということも感じ、サブスク制で収益が安定する事業モデルを持ちたいと考えました。結果、それらの条件に当てはまるのがピラティスだったのです。

 もともとピラティスの講習会に通い勉強をしていたこともあり、ピラティスが身体の機能を改善するのにとても良い手段であることは知っていました。理学療法士が指導することでより効果が出せる自信もあり、ルルトの展開をスタートしました。

▲40㎡ほどの広さで開業できるため、マンションの一室でも出店可能

メディカル寄りピラティス 初期投資額は約800万円

――現在ピラティスのブームもあり、ピラティスの教室が増加しています。御社ならではの強みや差別化ポイントはありますか。

木城:確かに現在ピラティスのプレイヤーは増えており、どこの教室もブームに乗ったフィットネス寄りのピラティスを打ち出しています。それに対しルルトは、ブームになる前から出店を開始しました。またコンセプトもメディカル寄りのピラティスとして、肩こりや腰痛、猫背や反り腰など、姿勢の改善に重きを置いています。理学療法士の監修で、身体の機能を改善する手段にピラティスを活用するというスタンスで、自分たちの得意分野を活かしているのです。

――理学ボディはほとんどが直営店で、FCものれん分け形式の数店舗だけです。ルルトではFC展開が主ですが、その理由は。

木城:ピラティスは整体に比べて新規出店のコストが高く、増店してバックオフィスにかかる管理コストなども考えると、直営店で出せる店舗数は限界があります。ピラティスブームで他社の出店ラッシュが続いているため、FC展開を始めないと出店競争に勝てないと思ったのです。

 またインストラクターは女性が多く、みんなピラティスのインストラクターをやりたくて入ってくるため、管理職をやりたい人がなかなか出てきません。整体の場合は男性の理学療法士が多く、みんな管理職を目指したがるのですが、ルルトではそうはいかなかった。このように直営店で急展開をするとマネジメントレイヤーが育たないため、マネジメントをFCオーナーさんに委ねた方が良いと判断したのです。

――FCの初期投資と収益モデルは。

木城:加盟金が300万円、研修費用が1人当たり30万円、保証金50万円、マシン代100万円、備品代50万円、内装費50~100万円となっています。こちらに物件取得費なども含めて、800万円前後で開業できるパッケージです。

 立地はマンションの空中階で、低家賃で出店することにこだわっています。40㎡ほどの広さで、東京で15万円、地方では10万円ほどが平均です。

 収益モデルは、正社員が2人在籍している設定で月商250万円。会員は上限の約80人想定となります。経費のほとんどが家賃と人件費で、ロイヤリティを引いても月に100万円程度が利益として残ります。
 現在の既存店の会員継続率は92%で推移しています。ピラティスブームもあり、市場規模がどうなるかが読めませんが、ルルトは300店舗まで展開できると考えています。中長期的には直営とFCの比率も調整していきますが、まずはどんどん出店していきたいと思います。

(2024年12月号掲載)
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