【連載】現地調査でわかる区分マンション選び方:1月号掲載

賃貸経営不動産投資

消防設備の仕組みと確認項目

火災時に機能する設備

 火災が起こった場合、マンションの消防設備はどのように機能するのでしょうか?

 専有部分のキッチンで火災が発生すると、キッチンの天井に設置されている「熱感知器」がまず感知し、信号を「自動火災報知設備(以下、自火報)」に伝えます。

 分譲マンションの場合、自火報は管理事務室内にあることが多く、火災場所が自火報に表示されます。自火報に送られた信号は、同じ管理事務室にある「火災通報装置」に流れて管内のベルが鳴り、「火事です」と発報され、管理員は現場確認に行きます。

 管理員がいない場合は、契約している警備会社に連絡が伝わります。

 そのほかの消防設備として、共用廊下には業務用「消火器」が設置されています。消火器は20mおきに設置する決まりとなっています。この消火器の使用期限はおおむね10年なので、確認しましょう。

 次に避難設備の確認です。避難経路は2方向あり、一つ目は共用廊下につながる階段です。共用廊下には「誘導灯」が設置されていて、誘導灯に従い、階段を使用します。

 二つ目はベランダです。各階に一つ、「避難はしご」が設置されている場所があります。設置されていない場合は、ベランダを仕切る「隔て板」を蹴破って、避難はしごのあるところまで移動し、避難はしごで下階に避難します。

 消防士が消火活動で使う、「消火栓」や「消防ホース」「連結送水管」も確認しましょう。

 転売目的で、消火用金具の盗難が相次いでいるので、注意が必要です。

現地調査で確認できる設備

これらが適切に作動することを確認するのが消防設備点検で、6カ月に1回の実施が法律で決められています。しかし、実施していないマンションもあるため、現地調査で確認することが重要です。

現地調査で確認できるのは、①火災通報装置②消火器③誘導灯④消防ホースの四つです。

横山顕吾
オーナー(広島市)

1970年岡山市生まれ。筑波大学体育専門学群卒業後、建物管理会社に就職。2008年から一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC)広島支部長を務め、12年に投資用分譲マンション2戸を取得。17年に区分マンション所有に特化した専業家主へ転身。マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸経営アドバイザー、防火管理者、損害保険募集人資格などを持つ。趣味はリフォーム、ラグビー観戦。

(2024年1月号掲載)

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