街の風景 写真は語る:老人ホームに賃貸を併設

賃貸経営地域活性

老人ホームに賃貸を併設し地域を活性化
市と社会福祉法人が協働し課題解決を目指す

 高齢化や人口減少など、自治体はさまざまな課題を抱えている。その中で、自治体と社会福祉法人が共同で地域活性化に取り組む例が出てきた。

 山口県萩市と社会福祉法人創生会(福岡市)は、萩市の住宅型有料老人ホームに併設する建物を賃貸物件として整備した。「グランド萩イースト」という名称で提供する。4月より入居募集を開始した。

▲AI(人工知能)ロボットが入退室管理を行うエントランスホール

 同施設はフロアごとに用途を分けている。2〜3階は賃貸オフィス、4階は高校生の寮、5階は看護師ら向けの住宅、6〜8階は短期滞在型居室。今回の事業では、計44戸を整備した。看護師不足など、地域が抱える課題解決の一助とする狙いだ。

 老人ホーム運営のノウハウを賃貸物件でも生かした。高齢者向けに検討していたコミュニケーションロボットをエントランスに配置。入退室管理のほか検温の機能で健康管理が行えるように転用した。これにより常駐の管理人が不要となり、人員不足が解消できた。

 同施設には、萩市も企画時から密接に関わった。寮と看護師ら向けの住宅は市が借り上げ、募集および入居者の決定も行っている。寮のベッドや机は、教育委員会が備え付けた。

 総事業費の約6%は、同市から補助金が出る見込み。移住相談や企業誘致を行う際にも同施設を紹介する。市による募集に加え、管理・運営をする創生会でも募集を行っている。

 創生会グッドタイムホーム・グランド萩の阿部哲也施設長は「環境や住み心地が良いとの声があります。人口減少の解決策として、今回の事業が一つのモデルケースになればうれしいです」と話す。

(2024年10月号掲載)

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