相続の専門家に聞く:正しい知識をもって事前対策

相続相続税対策

正しい知識をもって事前対策
士業約50人と協力して対応

一般社団法人日本相続対策研究所(東京都品川区)本間文也所長(54)

セミナー年間100回超開催

 「相続税対策で多いのは、借金して建物を建てる節税策。でも、何も知らない人がいきなり借金して不動産経営をする、というのはどうなんでしょう」

 こう熱く語るのは、一般社団法人日本相続対策研究所(東京都品川区)の本間文也所長だ。自身もファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士の資格を持つ本間所長は2016年に同研究所を設立。それ以来、税理士、弁護士、行政書士などの士業のパートナーと共に相続対策をサポートしている。現在、パートナーは50人ほどおり、これまで70~80件のコンサルティング案件に対応してきた。月1回士業を中心に相続対策研究会を開催し、知識を深めている。

 活動としては、JR京浜東北線大井町駅前の「品川区立総合区民会館」で毎月6~10回の相続対策を中心にセミナーを実施。23年は年間116回ほど行った。このセミナーの聴講者から相続の相談を受けることが多い。

 講師は本間所長が務める。受講者が多いセミナーのテーマは「親が元気なうちに、子が考えるべき相続対策」。相続対策には、感情が入ってくるので、税金対策だけではうまくいかない。「家族の感情を考えたうえでの相続対策が必要です。また主導権を持っているのは親なので、親の思いを大切にした対策を行うことが多いです」(本間所長)

 相談が入ると本間所長が話を聞き、対策をプランニングする。遺言書作成、家族信託の組成、任意後見制度の活用、税務の申告が必要になったときに各専門家に対応してもらう体制だ。

誤った相続対策の実態

 本間所長の相談に来る人の中には違和感を持つ相続対策をしているケースは少なくないという。例えば、相続対策として賃貸住宅を建てたはいいが、事業としての計画性はなく、収益性が低い状態の人。保険の活用による相続対策も生命保険に2億円も払っている人。さらに、税金を払いたくないことから法人の決算で赤字を続けて、15期で役員借入金が5000万円になってしまったケース。父親が亡くなるとその借入金が相続財産として計上されてしまうということを知らずに行っている場合もある。こうした実態から「相続に対する正しい知識を持ってほしい」と思ってセミナーを継続しているのだという。

 同研究所を設立したきっかけは15年ほど前に事業再生の仕事をしていたときに抱いた疑問だった。事業再生に関わった企業の決算書を見ると、不動産が足かせになっているケースが多かった。「不動産活用は有効ではあるが、知識を身に付けていない人がやると大変。正しい知識を持って事前対策をすることが一番大事。だからセミナーを続けているのです」(本間所長)

24年もセミナーを実施し、相続対策の正しい知識を広めていく。

(2024年1月号掲載)

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