【連載】人生100年時代 中高年のコミュニケーション

相続事業継承

第2回 年齢を重ねた夫婦が考えたい 自立しながら寄り添い合う関係

認識のズレが不調を生む

 皆さまこんにちは。心理カウンセラーの佐藤栄子です。今回は夫婦のコミュニケーションについて話します。50代以上の女性に対してカウンセリングをしていると、体調不良の原因が「夫源病」にあるケースがよくあります。夫源病とは正式な病名ではなく、医師の石蔵文信氏が命名した「夫の言動が原因で妻がストレスを感じ、たまったストレスにより心身に不調を生じる状態」を指します。

 これまで、家庭という場においては、妻のほうが夫や家族を気遣いながら家事や育児、介護を担っていることが多かったと思います。自分のことより他人を優先して生きていると、どうしても「我慢」することが出てきます。一つ一つの我慢はささいなことなので、そのときはやり過ごせても、それが何十年と続けば、やがて心が悲鳴を上げて体調不良となって表れます。

 強弱はありますが、長年連れ添った夫婦であれば、ほとんどの妻は夫のことで何らかのストレスを抱えている印象があります。しかし、夫源病について男性に話すと、「うちの妻は大丈夫」と言う人が多いのも興味深いです。この認識のズレが夫源病につながるのでしょうね。

 特に新型コロナウイルス下でリモートワークが普及したことにより、以前より夫の在宅時間が増えたことも影響しているでしょう。また、逆に夫が妻の言動に我慢しすぎて「妻源病」の状態になっている場合もあります。いずれにしても、双方の受け止め方の違いを軌道修正する必要があります。

これからのために歩み寄る

 夫側は、家のことを妻に任せきりにしてきたのなら、自分の洗濯物は片付ける、簡単な掃除を引き受けるなど、少しずつ家庭運営に携わってみて、日々の生活がどう流れているのか観察してみてください。

 妻側は、家族のために我慢し続けてきたのなら、短くても自分だけの時間を1日の中で確保してください。仮病を使ってもいいので「これは今日できない」と夫に伝えて、自分をいたわりましょう。「やめても問題ない家事リスト」を作って夫と話し合うのもいいでしょう。

 年齢を重ねるにつれて、ますます夫婦間で相手と向き合う時間が増えていきます。「家族だけれど他人でもある」という考え方に立ち返り、お互いが心身ともに自立してそれぞれの人生を楽しみながら、ずっと寄り添える関係でいられるといいですね。

佐藤 栄子
プロフィール
不動産会社で約20年、主に秘書業務を担当。退職後、心理学を学ぶ。現在はインターネット総合サイト「exicite(エキサイト)」を含む3社で電話とメールによる心理カウンセリングや、離れて暮らす親子がつながるための情報サイト「親子ネクト」でコラムの執筆を行う。

(2024年5月号掲載)

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