【特集】基本を知れば怖くない 税務調査への 対応策:③税務調査のその後

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税務調査のその後

Q8:税務調査で不備が指摘されたらどうしたらいいか
A:素早い修正申告でそれ以上の出費を防ぐ

【所得税・法人税・相続税】
 指摘点がすべて解決し、適正申告と認められるときは、是認通知を請求できる。なお、相続税の場合は、全相続人に郵送されるという。
指摘が納得のいくものであれば、納税者側から不備を認めて修正申告をする。

 しかし、必ずしも調査官の指摘が適切とは限らない。松木税理士いわく、「曖昧な根拠で『ふっかけ』る調査官もいます」という。そんなときは、調査官だからと萎縮せずに厳然と対応しよう。不適切な指摘に従って修正申告をする必要はないのである。「極端な例では、被相続人が負担した家族全員の生活費は割り勘とすべきだ。だから生前の家族の生活費は、被相続人からの貸付金であり被相続人の相続財産である、といったとんでもない指摘をしてくることがあるようですが、応じる必要はありません」(飯塚税理士)。そうしたときは、調査官に対して指摘の根拠を提出させるべきだという。税法上、立証責任は国税側にあるため、指摘の根拠の立証は調査官が行わなければならない。それでも調査官が否認をしたら、国税側に税額を修正する「更正」を請求するといい。「更正と修正申告では意味合いが大きく違います。更正だと納税者からの再調査の請求や審査請求・訴訟等が可能なのですが、指摘に従って修正申告をしてしまうと、その後一切の救済手続きが取れなくなってしまうからです」(飯塚税理士)

 修正申告、更正とも加算税と延滞税の罰金がかかる。加算税には「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」の3種類があり、それぞれの加算税率は表に示したとおりだ。

 その中でも要注意なのが重加算税。ほかの二つは申告し忘れ、少なく申告してしまったといった過失・誤りに対するものであるのに対し、重加算税は仮装・隠蔽、つまり脱税扱いとなってしまうのである。「一度重加算税が課されると、税歴簿に掲載され、過去に脱税した人という事実が一生どころか子や孫にまでついて回ります。その後、法人税や所得税を納めるとき、あるいは自分が被相続人になるときに相続人までもが疑われるのです」(松木税理士)

 誤りがあった場合は、正すべきは早く正して、素早い修正申告をするほうが経営の未来につながるのである。「本来であれば重加算税を取られてもおかしくない事案でも、過少申告加算税を税務署側が認めてくれることもありました」(飯塚税理士)。

▲加算税の概要

Q9:申告から何年経ったら税務調査は入らないか
A:相続の場合、絶対ではないが目安は3年

【所得税・法人税・相続税】
花光税理士によると、国税通則法の定めで、税務調査によりさかのぼることができるのは5年分だという。ただし、重加算税対象となる仮装・隠蔽があるような悪質なケースの場合は最大7年までさかのぼることができる。
【所得税・法人税】
所得税・法人税の場合は、前述のように3年分が調査対象となるケースが一般的だ。ちなみに、事前に指示があった年度以外については、調査対象年度に関わる部分以外は調査対象とはならない点も覚えておくといいだろう。
【相続税】
飯塚税理士は、「申告期限後の秋から翌翌々年までに連絡がなければ、おおむね調査省略といえると思います」と話す。重要案件ほど申告後の翌秋程なくして税務調査が入る傾向にあるものの、申告時期や税務署の人事異動などの事情により1期持ち越しはあり得るという。まれに2期持ち越しもある。とはいえ、「もう税務調査には入りませんよ」といった通知がくるわけではない。3年というのは目安として考えておこう。

【過度な節税に要注意】
 花光税理士は、認められる範囲で節税するのはいいものの、露骨な節税は当然税務調査が入りやすくなります」と話す。節税をし過ぎた結果、くまなく調べられて結局不備を指摘されるのは避けたいところだ。

(2024年7月号掲載)

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