コインパーキング / フィル・パーク
駐車場上部空間に商業施設を企画・建設
フランチャイズ本部のテナント出店も支援
東証スタンダード上場のフィル・カンパニー(東京都中央区)は、コインパーキングの上部空間を生かした商業施設「フィル・パーク」を展開している。同社は、「空間ソリューションサービス」ビジネスとして、都市部をはじめ全国各地にある駐車場はもちろん、空き家、空き地等の「未活性空間」を、所有者やテナントの需要に合わせて企画、活性化させていく。近年はフランチャイズ(FC)本部との連携で出店を支援するケースも増えているという。
フィル・カンパニー(東京都中央区)
金子 麻理社長
東証スタンダード上場企業 累計210棟以上の供給実績
東京・JR立川駅より徒歩10分弱、決してアクセスが良いとは言えない場所にある「フィル・パーク立川錦町」。もともとコインパーキングだった立地の上部には、3階建ての建物が建つ。2階には飲食店、3階にはヘアサロンが入居しており、オーナーには従来のコインパーキングでの収入に加え、テナント賃料が入る仕組みだ。店舗は大きなガラス面が特徴で、周辺エリアのランドマーク的な役割も果たし、建物はもちろん、周辺にも賑わいをもたらしている。一方、今年11月に竣工した「フィル・パーク蔵前Ⅱ」は、東京・都営浅草線「蔵前」駅徒歩1分の立地に建つ、104・22㎡、延べ床面積225・22㎡の鉄骨造地上4階建て。もともと三角地のため、なかなか活用ができなかった土地だった。建物の3階と4階は、内階段でつないだメゾネットタイプで、テナントにとっては、利用方法の選択肢を広げることができる。
これらを企画したフィル・カンパニーは、2005年の創業以来、「フィル・パーク」ブランドとして独自の建築物を全国各地に企画してきた。2016年には東証マザーズ(当時)にも上場を果たすなど、事業を拡大。これまでに210棟以上の実績を持つ。2023年11月期通期の売上高は60億円、営業利益は2億円。
同社の事業セグメントは、売上高の大半を占める「フィル・パーク」事業と、2019年よりM&Aによって本格的にスタートした「ガレージ付き賃貸住宅プレミアムガレージ」事業の2つ。
主力の「フィル・パーク」は、主に既存コインパーキングの上部空間を生かした商業施設で、基本は2〜4階の低層階の建物だ。
「当社は表通りはもちろん、これまでなかなか土地活用するのが難しいような変形地や狭小地を得意としています」(金子麻理社長)。
近年は、独特な工法を生かして、更地から手掛けることもあり、5階以上の建物を建設するケースもあるという。
事業スキームは、「請負受注」と「開発販売」2タイプ。前者は、土地オーナーから請負契約を結び、建築・テナント誘致をしたうえで引き渡すもの。後者は同社が土地を購入し、建築・テント誘致し完成したものを投資家などに売却する。
投資額は8000万円から 初期テナント誘致保証も付与
企画・設計から施工までワンストップップで提供できることが特徴で、あらかじめリーシングを進めてから、入居するテナントに合った建物を提供する。そのため、オーナーには初期テナント誘致保証を付与。建物完成・引き渡し後の事業スタート時から投資回収が可能になる。
「当社は、『逆算して建設する』という考え方です。この土地にはどのテナントが合うかを徹底的に調査し、それに合った建物を建てます」(金子社長)
「スペースオンデマンド」と称する同社の施工プロセスは、周辺エリアの需要に応じた建物を建設するもの。テナントによっては駐車場の配置や入口に至るまで様々な角度で企画・設計していく。
「場合によっては、無理して容積の上限まで建てることはしません。建物を建築しても集客できなければ結局収益は上がらない。テナントはもちろん、投資するオーナーもハッピーになるように、そしてその街に合ったものを提供するのが当社のミッションです」(金子社長)
おおよその投資額は8000万円から1億5000万円。オーナーは建築後、テナントか賃料収入を得る。
▲コインパーキングの上部空間に商業施設を建設
土地オーナーにとっては、これまで商業ビルとしての活用が難しいとされていた狭小地や、駐車場の上部空間の収益化が可能になる。テナントにとっては、シンプルなスケルトン仕様のデザインと高い内装自由度により、各店舗の独自色を出した空間を作ることが可能だ。
同社にとっても、幹線道路から一本入った狭小地は競合他社が少なく、これが同社の優位性となっている。テナントにとっても、これまで出店できなかった土地に出店することが可能になる。そのため、同社がリーシングするテナントには、FC本部も増えているという。
「出店地域を探して当社にご相談されるケースもあります」(金子社長)
実際、大手フィットネスチェーン店は、「フィル・パーク」のテナントとして10件ほど出店決して通りに面していなくても集客に影響のない店舗は、同社を活用することで出店地の幅を広げることができるという訳だ。
「他にもパーソナルジム、塾や保育所などの需要があります。チェーン店によっては決して大通りに出店しなくてもいい。むしろ賃料が安いというメリットがある。裏通りでも需要はあるのです」(金子社長)
(2024年11月号掲載)
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