底地(貸宅地)とは? デメリットと解決策を紹介

相続権利調整

地主の悩みの一つとしてあげられる底地(貸宅地)。

借地人との地代の交渉や、相続税の負担が重いなど困りごとも多くあります。

底地の解決策として以下が挙げられます。

  • 契約書を見直す
  • 底地を売却する
  • 底地の活用方法

底地のデメリットと解決方法について「家主と地主」編集部がまとめました。

底地(そこち)とは? わかりやすく解説

底地とは貸宅地とも言われます。地主から土地を借り、その上に家を建てて住む人がいる土地のことを指します。(*以下底地と表記)

つまり、1つの土地に底地人と借地人の2人の権利者がいることになります。

借地人は借地を利用する権利である借地権を持ちます。借地人は地主から土地を借りていることから、土地の借地料である地代を支払います。

借地契約の場合は以下の費用が掛かります。

  • 20~30年周期で土地賃貸貸契約の更新を行う。その際、契約内容によっては、更新料を地主に支払うことが必要
  • 借地権を売却したり、借地の上の建物を大幅に改修・建て替えたりする場合は、地主の承諾が必要になり、契約内容によっては、地主に承諾料を支払う

地主は土地の所有権はあるものの土地の利用権がない状態です。地主は借地権から地代をもらえ、土地の固定資産税の支払いは所有者である地主が行います。

底地のデメリット

 地主が直面する底地の5つのデメリットをご紹介します。

収益性が低い

地代の設定は借地人と合意できれば自由に設定できます。

しかし、地代の金額は固定資産税、土地計画税の3倍程度が相場です。同じ規模の土地でアパートや 駐車場を経営することと比べると収益性が異常に低いと言えるでしょう。

売却が難しい

底地のまま売却して売ることは難しいといえます。最も高額で買い取ってくれるのは借地人です。しかし、地主が売却したいタイミングで借地人に買い取ってもらえるかは不明です。

相続税負担が重い

収益性が低く売却が難しいにもかかわらず、底地は相続資産としての評価が高いのもデメリットです。

地代の適正価格が分かりにくい

地代の設定は借地人と合意できれば自由に設定できますが、借地人と地主では利害関係が対立するため希望価格に相違が生まれやすく、もめ事の種になります。

専門家に頼らない場合は特に言えることですが、 周辺相場を調査するのが難しく、適正価格の判断がしにくいのも厄介な点です。

人間関係が大変

地代の値上げや、更新料の発生のタイミングで、借地人との人間関係が悪化しやすいのも特筆すべき事項です。

契約書を見直す

底地の契約書を見直しましょう。

土地賃貸借契約書を作成する

紙面での契約がない場合、口約束で交わしたことが契約内容になります。しかし借地人との認識齟齬が起こりやすくなります。

地主が借地契約の内容を見直したい場合は土地賃貸借契約の内容を書面化して地主と借地人で認識齟齬がないか確認しましょう。

契約書に、契約を維持するための項目がない場合は協議の上契約に盛り込みます。

合意形成を行う

地主は、契約条項に関わらず以下4つに該当する場合には、地代の値上げを行うことができるとされています。

  • 土地に対する租税その他の公課増減
  • 土地の価格の上昇 
  • 経済事情の変動 
  • 近傍類似の土地の地代などに比較して不適当

再測定を行う

1つの敷地の上に複数の借地人が家を建てている場合もあります。先代の地主から聞いた底地(借地)の広さ、位置、形が異なるというケースは、実はよくあるのです。

底地(借地)の広さによって地代は変わります。境界線が不明瞭な場合は不動産の資産性を下げることになります。借地人と話し合い、土地の境界線を決めて、分筆しておくと相続時などに売却がしやすくなります。

底地権を売却する

底地権を借地人に売却するか、買い取り専門業者売る方法です。

底地権を借地人に売却する

借地人としては、借地権を所得し、土地と建物の全ての所有権を持った方がメリットが大きいです。そのため底地権を1番欲しいひと、つまり借地人に売却してする方法があります。

借地人の立場からすると、自身が借地権を所有している分、底地権を買い取るのに必要な金額は、周辺の土地を購入するよりも安く済みます。

通常、都市近郊の住宅地の借地権割合は6~7割程度。つまり周辺の土地価格の3~4割ほどで底地権を買取ることができるのです。

借地で生活する限り、土地賃貸借契約の更新や建物の改修、建替時に地主の承諾を受ける必要があり契約内容によっては更新料や承諾料を払う必要が出てきます。

さらに、借地権付きの建物は融資を受ける際に担保に入れにくいデメリットもあります。

以上のように、借地に住むという生活は煩わしい一面があります。そのため借地人が一番底地権を欲しい人だといえるのです。

底地権を買い取り専門業者へ売る

なお、地主は、底地権を借地人以外の第三者である底地買い取りを扱う不動産会社に売却することもできます。

しかし、その際は借地人に売却するよりも低い金額での売却になりやすいです。

底地権は土地の利用権がないことから買い手が少ないためです。底地を一番高額で購入する可能性が高いのは、やはり借地人になります。

借地権を買い取る

底地権を持つ側が、借地権を買い取るか、底地権と借地権を売却、もしくは等価交換します。

借地人から権利を買い取る

底地の整理方法として、底地権を持つ側が借地人から権利を買い戻す方法もあります。

そうすれば地主は土地を完全に所有することができ自由に使うことが可能になります。

借地権を買い戻すには、地主は借地人に相当額を支払う必要があり、自身が所有する土地を返してもらうにもかかわらず、支出が伴うことになります。

しかし、不動産を完全に所有すれば資産性が高まります。売却する際も、底地権だけを売るよりも通常の不動産と同様に買い手が見つかりやすくなるのです。

つまり、売れやすくなりかつ売却価格も上がります。

同時売却する

同時売却とは、自主の底地権と借地人の借地権を第三者に同時に売却する手法のことです。

そのため、通常の不動産取引と同様に実勢価格での取引ができます。

底地だけ、借地権だけの売却時よりも高値になりやすいです。

さらに同時売却の場合、慣習的に地主の取り分と借地人の取り分は50%ずつになり、底地だけを売却したよりも30~40%も地主は取り分を増やすことができるのです。

借地人にとっても借地権だけを売却する時と変わらない・もしくは承諾料が不要になることから、手にする金額を増やすことができる場合もあります。

等価交換する

等価交換も一般的な底地の整理方法の1つです。等価交換とは、 底地権の一部と借地権の一部を交換する方法で、地主と借地人がともに完全所有する土地を取得できます。

等価交換のメリットは2つです。

  • 1つは借地人、地主ともに高額な費用が発生せず、権利の交換のため金銭のやり取りが発生しない
  • 譲渡税が掛からない。固定資産である土地や建物を同じ種類の資産と交換したとき、譲渡税がなかったものとする特例がある

等価交換のデメリットは以下の通りです。

  • 土地を2つに分割することになるため、地主、借地人ともに所有する土地が狭くなる。狭い土地の場合は、分割すると一層小さな面積になるため、土地活用が難しくなってしまうため等価価値は向かない

底地の活用方法

代々所有していた土地を手放すことができないと考える地主もいます。底地の相続税対策を解説します。

相続前に法人に売却

底地は、収益性が低いにもかかわらず、相続地の資産評価が高いのが特徴です。そのギャップを逆手に取り、以下のように相続税対策に役立てることもできます。

  • 相続財産になる底地を個人から法人に売却し手放すことで、個人の資産が減り、相続税を抑えることができる
  • 底地の買い取り額が低いという市場性を活用することで、 相続税路線価よりも売却金額を低く設定することが可能

物納に有効

底地は物納にも向いている財産です。物納とは相続の際に現金で相続税を収めるのではなく物で納める制度のこと。不動産を物納するためには、申告期限までに、税務署に申請許可を受ける必要があります。

しかし相続税の支払い期限の10か月以内で手続きを行うのは難しいため、延納を申し込んでから途中に物納に切り替える特定物納を用いるのが一般的です。

特定物納とは延納が許可されたあと、支払いが困難になった場合に相続税の支払い方法を物納にする制度のことです。物納に変更するまでは利子税が発生します。

土地の境界や借地人が不明である場合も管理処分不適格財産とみなされ物納できなくなります。どの財産を残し、どの財産を納税資金に充てるのか綿密に調整する必要があります。

まとめ

地主の所有する底地権のデメリットとして、収益性が低い、売却が難しい、相続税負担が重い、地代の適正価格が分かりにくい、人間関係が大変などが挙げられます。

底地の有効活用として、契約方法を見直したり、底地権を売却したり、借地権を買い取ったり、相続税対策をすることもできます。

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