公図だけではわからない旗ざお地の存在
旗ざお地と呼ばれる間口が狭い土地、あるいはうなぎの寝床のように細長い土地に対しての補正が、間口狭小・奥行長大補正だ。
間口狭小補正とは、間口距離に応じて評価額を減額する補正のこと。路線価に間口狭小補正率を乗じて減額補正が行われる。間口が狭ければ狭いほど、補正率が低くなる。
奥行長大補正とは、間口距離に対して奥行距離が長い土地に適用する補正で、奥行距離を間口距離で割った数値に応じて、奥行長大補正率を適用する。これらの補正率を適用できる土地の場合、「不整形地補正率×間口狭小補正率」と「間口狭小補正率×奥行長大補正率」のいずれか低い方の補正率を採用することになる。
参考例2は土地と道路の間に水路が通っていることで間口狭小と奥行長大の二つの補正が適用されたテナントの例だ。公図では整形地と判断され、貸家建付地補正の0・85のみ適用と思われていた。
だが、現地で土地を見てみると、水路が通っていることがわかった。実際には、水路に渡した橋の部分からしか敷地内に入ることができず、旗ざお地のような評価になったわけだ。
当初は、
6万2000円×900㎡×0・85=4743万円
の土地評価だったが、二つの補正が加わったことで
6万2000円×900㎡×0・9×0・9×0・85
=約3842万
に評価を下げることができた。
路線価図や公図だけで机上の計算をしているだけでは、なかなか正しい土地評価は難しい。現地調査が重要な例だといえる。
KEYWORD
旗ざお地
間口の狭い敷地が路地状に延び、その先に袋地がある土地のこと。日当たりや風通しが悪く、一般的に活用しにくいと考えられる。
(2024年2月号掲載)
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