【特集】古くなったら避けられない 大規模修繕の基礎知識③

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Part3 屋上防水 施工法の特徴を知って選択

 屋上防水の修繕工事は、大半が既存防水層の上に新しい防水層を施す。その際に、既存のものと新しいものとでミスマッチが起こることもある。防水方法は事前にきちんと確認することが重要だ。

専門家のアドバイス:工事中は日々報告もらえる環境づくりが大切

一般社団法人日本防水協会(東京都中央区)
坂井俊夫理事(49)

 「工事前の段階で、建物に対する方針とともに、工事の際の要望もきちんと伝えましょう」と坂井理事は指摘する。例えば、建物が病院であれば、「騒音はなるべく抑えてほしい」といった具合だ。

 工事開始後は、1週間に1度でもいいので、電話や日報などで進捗状況を定期的に報告してもらうことが望ましい。天候などが影響して、工程どおりに進まないことも珍しくないからだ。

 家主は、施工会社がそれらの報告をしやすいような環境づくりに努めたいところだ。また、近年は25~30年といった長期保証の防水方法も認知され始め、施主側、施工会社の双方から注目されているという。

専門家による定期診断が大切

▲アスファルト防水の膨れ(上)とシート系防水の継ぎ目の剥がれ(写真提供/日本防水協会)

 屋上防水について、一般社団法人日本防水協会(東京都中央区)の技術委員を務める坂井俊夫理事に聞いた。

 下の表に挙げたように防水層を施す代表的な方法は、シート系防水、塗膜系防水に分けられる。保証期間については、シート系防水は10年のものが多く、塗膜系防止だと5年や10年のものがある。耐用年数は一般的にそれ以上だが、坂井理事は「保証期間を過ぎれば、定期的に点検をしたほうがいいです」と語る。新築物件であれば、10年以降が定期点検を始める目安となる。頻度は1年に1度が理想的だという。

 劣化のポイントは、シート系防水では、シートとシートの継ぎ目部分の浮きや剥がれ。塗膜系防水だと紫外線による色あせのほか、風船のように膨らんだ部分があると注意が必要だ。

 坂井理事は「チェックは目視や触診となりますが、家主本人が行わずに、専門家に見てもらうことが重要です」と語る。

見積もりの前に方針を決めること

 見積もりの依頼に際しては、建物をあと何年稼働させるかの方針を決めることが重要だ。遠くない時期に建て替えや売却の予定があれば、長く持たせるための高額な工事は必要ない。一方で、あと数十年稼働させるつもりであるのに安価で長持ちしない工事をしてしまうと、のちのちやり替えの回数が増えてしまう。

 見積もりは、事業者が国土交通大臣や都道府県知事から建設事業の許可を得ているかを見たうえで、2〜3社から相見積もりを取るといい。大手、中堅、中小と規模が違う会社から取り寄せるのも一つの方法だ。

 このほかの注意点として、坂井理事は次のように語る。

「屋上防水の修繕工事の大半は、既存の防水層の上に新しい防水層を施します。その際に、既存と新しいものとでミスマッチが起こることがあります。例えば、既存のゴムシート防水の上からウレタンの塗膜有機溶剤系の防水を施すと、ゴムシート防水を侵してしまうことがあるのです。そうならないように、防水方法については事前にきちんと施工会社に確認しましょう」

騒音、臭いの発生に言及していると丁寧

 見積書を受け取ったら、いわゆる「一式」表記ではなくて、仕様や数量がきちんと記載されているかをチェックしたほうがいい。保証期間や保証内容の記載があれば安心できる。また、工事中には騒音や臭いが発生することがある。それらが発生する可能性についても説明書きがあれば、丁寧な見積書だといえる。

(2024年8月号掲載)
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